2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」
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「演劇は戦争に反対します」。大竹しのぶさん、中村勘九郎さんなど二百人近い演劇人が呼びかけ賛同人になった「イラク攻撃と有事法制に反対する演劇人の会」が二十八日、東京・新宿の紀伊国屋ホールで開かれました。インターネットで知った演劇ファンなど七百人以上が参加しました。定員四百人の会場があふれ、百人以上がロビーでモニターテレビを見て、やむなく帰る人もいました。
講演した作家の井上ひさしさんが、アメリカの横暴を告発し「これが続くわけはない。長生きして落ち目をアハハと笑ってやりたい」とのべると会場も爆笑。「私たちは戦争をしないでしたたかに生きていきましょう。そのためにも今、声をあげないとだめです」と語りました。
三田和代さんや観世榮夫さんなど多彩な出演陣による朗読劇。「9・11」のテロで肉親を失った遺族の、暴力の連鎖ではなく平和解決を求めた手紙や戦争、民族の紛争で犠牲となった子どもたちの「平和が来るのを待っています」という痛切な文章の朗読に、客席からすすり泣きが漏れ、舞台上で涙をふく俳優の姿も。
最後に「『イラク問題の武力によらぬ解決』を求める声をねばり強く呼びかけていこう」と訴える「世界の演劇人に対する呼びかけ」を発表。「あなたは今、アジアを攻撃する米英を支持しています。そんな日本を、アジアの人々はどう考えるでしょう」と問いかける小泉首相への「手紙」を劇作家の斎藤憐さんが読み上げ、賛同を呼びかけました。
集会後、舞台を構成した俳優の渡辺えり子さんは「みんな戦争反対の気持ちをどうぶつけていいか分からないでいる。どれだけ浸透するか不安でしたが、お客さんのすすり泣きや瞳を見て、ステージ上でどんどん確信がもてました」といい、演出した劇作家・演出家の永井愛さんは「私たち表現者は言葉で表現し、相手の心に伝えます。武力とは対極にあります」と語りました。