2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」
政府は二十八日、国立大学法人化関連六法案を閣議決定し、国会に提出しました。国立大学制度を解体し、大学の設置者を国でなく「法人」とする一方、文部科学大臣が各大学の目標・計画を決定・認可するなど、教育と研究・経営への国の統制を抜本的に強めるものです。
法案は、国立大学の設置者を「国立大学法人」に替えます。設置者を国から法人にすることで、国の財政責任を事実上放棄します。
法人化後の大学は、文科省の評価にもとづく「交付金」で運営します。評価の基準になるのは、大学の「中期目標」の達成状況です。文科大臣が、各大学の教育研究から経営面までの期間六年の中期目標を定めます。
法人の運営は、法人の長である学長と学長が任命する少数の理事(学外者を含む)でつくる役員会で決めます。役員会のもとに経営にかかわる協議会(半数以上を学外者で構成)と教学に関する教育研究評議会をつくって個別に審議します。学長は、協議会と評議会の代表による「学長選考会議」が選びます。
こうした組織運営には、「学長の専横体制を抑えるための学内のチェック機能がなく、大学全体の自主・自律が保障されていない」(宮崎大学学長)との意見が出ています。教育公務員特例法の改正で、教職員は公務員でなくなります。同省は、通常国会で成立させ、十月施行、来年四月からの法人化をめざすとしています。