2003年3月1日(土)「しんぶん赤旗」
【ワシントン26日浜谷浩司】米国がイラク侵攻の構えを強める中、米国の核兵器政策をテーマとしたNGO(非政府組織)の会議が二十六日ワシントン市内で開かれ、ブッシュ米政権の対イラク政策と核兵器の先制使用の可能性について強い批判と警告がだされました。
核軍縮を進める「社会的責任のための医師の会」(PSR)とシンクタンク「国防情報センター」(CDI)が共催したもの。
ブッシュ政権の政策について、PSRのブッチャー氏は、相手が生物・化学兵器を「持っていそうだというだけ」で先制攻撃を仕掛けるものだと危険性を強調。
こうした考えに立つ「予防戦争」の概念について、メリーランド大のフェッター教授は、国際法学者は「一致して違法とみている」と述べました。
米国がイラクで核兵器を使用する現実的な可能性について、ブッチャー氏は、米軍が化学兵器による攻撃を受けた場合、ブッシュ政権が核兵器で攻撃する可能性を「否定できない」と語りました。
「天然資源防衛委員会」のマッキンジー氏は、米政権が作成した複数の秘密文書を指摘して、イラクでの核兵器使用が検討されていると強調。米軍が開発した有害物質被害予測プログラムなどを使いながら、イラクで核兵器が使われれば、きわめて大きな人的被害が出ることを明らかにし、一般市民に被害が及ばないかのようにいうブッシュ政権のごまかしを指摘しました。
CDIのヒチンズ副所長は、ブッシュ政権が核兵器使用の敷居を引き下げてきたと批判。他国にも核兵器の使用に傾かせる危険を生み出していると警告しました。
地中の堅固な施設を攻撃するため米政府が開発した新型核兵器「バンカー・バスター」について、アメリカ科学者連盟のレビ氏は、通信手段の破壊により地中施設は戦闘能力を失うとして、新型核兵器開発の口実にすぎないとの見方を示しました。