2003年3月3日(月)「しんぶん赤旗」
【ベルリン1日片岡正明】アンカラからの報道によるとトルコ議会は一日、対イラク戦争を準備する米軍の駐留を認める政府提案を否決しました。賛成二六四、反対二五一、棄権一九で、賛成は憲法の規定による可決に必要な出席議員の過半数を得られませんでした。
トルコのテレビなどによると、採決はアンカラでイラク戦争に反対する約五万人のデモが実施されるなかで行われ、五十人以上の与党議員が政府案に賛成しませんでした。
政府提案は、米軍へのトルコ基地提供のほか、米軍六万二千人、戦闘機二百五十五機、戦闘ヘリ六十五機の駐留承認などを内容とするもの。トルコのギュル首相は一日、米軍駐留案を四日から再開される議会で再度採決にかけるかどうか検討すると言明しました。
米政権はトルコに強い圧力をかけ、百五十億ドルの経済援助と引き換えに承認を迫り、トルコ政府には認めさせていました。
しかしトルコは、イラクと同じイスラム教国であり、隣国イラクで戦争が起これば政治、社会、経済面での打撃もはかりしれず、世論調査では国民の80%以上が戦争に反対を表明しています。議会採決の結果は、米政権の圧力を国民世論が押し戻した形です。