2003年3月4日(火)「しんぶん赤旗」
【パリ3日浅田信幸】カトリックの総本山ともいうべきローマ法王庁(バチカン)は、米英が急ぐ対イラク戦争を明確に批判し、積極的な平和外交を展開しています。
法王庁は一日、法王ヨハネ・パウロ二世が、ブッシュ米大統領にあてた「中東の武装解除と平和に資するため」の書簡を直接手渡すよう、バチカンの国連大使(オブザーバー)に託したと明らかにしました。また法王は、カトリック行事「灰の水曜日」の五日に「平和のための祈りと断食」を信徒に呼びかけました。いくつかの国では同日、平和団体による反戦デモが計画されています。
ローマ法王はこの一カ月間に、フィッシャー独外相、アジズ・イラク副首相、アナン国連事務総長、ブレア英首相、アスナール・スペイン首相と会見、イラク問題を平和的に解決する道を探求するよう強く要請。またエチェガレ枢機卿をイラクに派遣し、サダム・フセイン大統領にたいし国連決議に従い武装解除を進めるよう求めました。
法王は、とくにブレア首相には戦争阻止のために「できる限りの努力」を、またアスナール首相には、全当事者が「国際法と倫理にかなった平和的で効果的措置」をとるよう訴えました。
法王は「戦争は常に人類にとっての敗北」を意味すると「戦争拒否」を明確に打ち出し、反戦世論が全世界に急速に広がるうえで大きな影響を与えています。
【ワシントン2日浜谷浩司】ブッシュ米政権によるイラク攻撃計画に反対して、サンフランシスコ市内のグレース大聖堂で二日午後、宗教者の平和の祈りが行われ、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教、ヒンズー教などの宗教者約二千人が参加しました。
全米教会会議の主催によるもので、戦争は貧困を引き起こしているとし「平和のための貧困の行進」と名づけた一連の行動の一環。礼拝では、ブッシュ政権が巨額の戦費を支出する一方で、医療、教育、保育など福祉を無視し、いっそうの貧困が生み出されているとの批判が相次ぎました。
同会議の事務局長を務めるエドガー牧師は、戦争に使われる金を、米国と世界の貧困の追放に使うことを「考えよう」、イラク戦争は「正義の戦争ではない」、世界の世論を集め「ノー」の声をあげれば「戦争を阻止できる」と訴えました。