日本共産党

2003年3月5日(水)「しんぶん赤旗」

無配ゼネコンの献金問題とは?


 〈問い〉 小泉首相も“献金を求めない体制”を表明した、無配ゼネコンの政治献金をめぐって何が問題になっているのですか。(静岡・一読者)

 〈答え〉 二月二十日の衆院予算委員会で、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は、株主への配当もできない多数のゼネコンから自民党が政治献金を受けている問題を追及しました。小泉首相は「無配の会社からは(献金を)求めない体制にしなければならない」と答弁するに至りましたが、これは無配当企業の政治献金は経営者の注意義務違反とする、二月十二日の福井地裁判決を受けたものです。

 大手ゼネコン熊谷組は、一九九八年三月期に二千四百億円余の特別損失を計上し、以後、株主配当も無配が続いたのに、自民党に献金を続けました。これにたいし、二〇〇一年六月、経営者に会社への損害賠償を求める株主代表訴訟が、本社のある福井県で提起されました。

 福井地裁は、公職選挙法や政治資金規正法に照らして合法な献金であっても、少なくとも特別損失を計上し無配に転落した九八年三月期以降は、経営者には会社の経営状況と献金の必要性・有用性を厳格に対比して検討し、慎重に判断すべき注意義務があったと認定しました。

 そのうえで、九八年四月以降の献金にはこうした検討の形跡もうかがえず、判断過程はずさんで取締役の裁量を逸脱していると指摘し、民法六四四条が定める「善良なる管理者の注意」義務違反として、当時の社長に九九年と二〇〇〇年の献金、二千八百万円余を返還するよう命じました。株主への配当もできない会社が政党に「配当」するのはおかしい、という国民常識に合致した判決といえます。

 九六年から二〇〇二年までに二期以上連続無配となりながら、自民党に献金していた上場ゼネコン企業は、二十社にのぼります。小泉首相は「自民党はこうした経理状況を知りませんから」と弁明しましたが、建設業者の決算書類は都道府県庁でだれでも閲覧でき、自民党も責任逃れはできません。 

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 〔2003・3・5(水)〕


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