2003年3月6日(木)「しんぶん赤旗」
健保本人三割負担の四月からの実施を前に、実施凍結を求める声が広がり、国政の大争点になっています。地方議会では実施延期を国に求める決議が相次いで採択され、自民党からも賛成議員が出ています。
そのなかで際立つのが、三割負担推進に熱心な公明党の姿勢です。地方で凍結決議に賛成した所属地方議員を「処分」し、国政では冬柴鉄三幹事長、坂口力厚労相らが「負担凍結」容認の声があがる自民党ににらみをきかせています。
「(私は)昨年の医療制度改革におきまして三割負担のお願いを申し上げた張本人でございますから、もう今年になりましたから結構でございますというわけにはまいりません」(一月二十九日、参院予算委)。四月からの三割負担を予定通り実施するのかと問われた坂口厚労相が答えました。
以前の坂口氏は「景気が悪ければ考え直さなければならない」とのべていたはずときかれると、「今どうしても大事なところでございますから、私も心を鬼にしまして申し上げている」と答弁。四月実施にしがみついています。
野党四党は、二〇〇三年度政府予算案組み替え要求に三割負担凍結をもりこみました。政府は二月二十八日、塩川正十郎財務相の名前で拒否回答。その回答を伝えるために、衆院予算委員会理事会に出てきたのが、公明党・谷口隆義財務副大臣です。谷口氏は、組み替え要求のなかからあえて三割負担の凍結、中小企業に対する「特別信用保証」の復活、公共事業費削減をとりあげ、これらは「とうてい受け入れられない」と冷たく通告しました。
自民党内で“三割負担凍結”の突き上げを受けていた山崎拓幹事長にねじこんだのが、公明党の冬柴幹事長です。「地方において最も関心が高いのは政管健保三割負担の問題である。公明党だけが熱心に推進しているのではないかという批判を受けているので、与党一体となって不退転でとりくんでいただきたい」。この冬柴氏からの強硬な抗議を、山崎氏は三日の記者会見で明らかにしました。
冬柴氏は、地方議会で凍結決議をあげさせないために“不退転”の決意で地方議員団を指導している公明党中央の締めつけぶりを具体的に示し、「このように公明党はきぜんとした態度で臨んでいるのに自民党の地方は足並みが乱れているので、どうか責任ある与党の立場として整然とした行動をとっていただきたい」とのべました。そこには、負担増で苦しむ国民への思いやりのかけらも見られません。