2003年3月8日(土)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク7日浜谷浩司】ブッシュ米政権がイラクに対する査察打ち切りと武力行使容認を迫るなか、国連安保理は七日午前(日本時間八日未明)公式協議を開き、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長からイラク査察について報告を受けました。
ブリクス委員長はこのなかで査察の前進と成果をあげながら、未解決の問題解決のため「一層の査察活動継続が必要」と強調しました。
同委員長は「イラクの査察協力は歓迎できるが、完全ではない」として兵器に関するさらなる文書の開示が必要だと述べました。そのうえでイラクが廃棄を命じられた「アルサムード2」ミサイルを三十四基破壊したことを「実質的な措置だ」と評価しました。
査察活動は容易に実行できると指摘。「イラク国外での科学者にたいする初のインタビューを近く要請する」とのべました。ブッシュ大統領が違反だと指摘した移動式化学兵器の研究室の存在を示す証拠はないとしました。
同委員長は結論として「未解決問題が今後解決できるとの期待を持っている」とのべ、査察の継続が必要との立場を強調しました。
またエルバラダイ事務局長は「イラクが核開発活動を行っているとの証拠は査察現場では一切なかった」と指摘。イラクがニジェールからウランを輸入しようとしたという米英の嫌疑を裏付ける文書は根拠がなかったと報告しました。
フィッシャー独外相は、報告を受けた討論で発言し、「平和的なイラクの武装解除は戦争に対する現実的な対案である」、「進ちょく状況をみれば新たな決議は必要ない」と査察の強化と加速化を求めることを強調しました。