2003年3月8日(土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 今年度から原発支援に重点化される交付金があるそうですが、どういうことでしょうか。(東京・一読者)
〈答え〉 政府は今国会に、原子力発電所の建設・運転支援を強化する法案を提出しています。従来すべての発電所が対象だった「電源特別会計」を原発中心に再編し、自治体への交付金も原発関連に「重点化」するものです。昨年は電力会社の原発事故隠しなどが相次いで発覚し、原発立地自治体でも原発依存を見直す動きが強まりましたが、これを交付金などで懐柔しようというものです。
現行の電源特別会計は、販売電力千キロワット時ごとに四百四十五円を電力会社から徴収する電源開発促進税を収入源とし、発電所建設への支援や立地自治体への交付金支給などを行っています。法案は、この特別会計の歳出を原子力、水力、地熱などの「長期固定電源」の利用促進対策に「重点化」します。火力発電所は、既設や計画・建設中のものを除き、交付金の対象から外されます。経済産業省は「特に原子力関連施設の立地に対する支援を拡充する」「施設と地域の末永い共生を実現」などとねらいを述べています。
これまで発電所周辺の自治体に支給してきた、道路・港湾などの公共施設整備や電気料金割引などを対象とする交付金のうち、六種類を「電源立地地域対策交付金」に一体化します。旧交付金ごとに決まっていた交付対象事業の中から自治体が自由に選択できるようにするほか、福祉サービスなどの「ソフト的な」事業にも使えるようにします。すでに立地されている所では、運転実績もふまえ増額します。財政難につけこんだ、立地自治体の懐柔強化策です。
二〇〇三年度予算案で風力・太陽光熱などの新エネルギー対策は千五百七十億円です。原子力関係予算四千三百六十億円の三割強、エネルギー関係予算一兆二千億円の一割強にすぎません。破たんした原発増設ではなく、こうした分野にこそ「重点化」すべきです。
(清)
〔2003・3・8(土)〕