2003年3月9日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 昨年「一般財源化」が宣伝されていた、道路特定財源はいまどうなっていますか。(兵庫・一読者)
〈答え〉 自動車利用者が支払う揮発油税や自動車重量税などは、全額または一定割合を道路整備に充てるよう、使途が特定されています。これら道路特定財源は、自動的に道路財源が確保されて道路建設が歯止めなく続くため、見直し論議が高まっています。
二〇〇一年参院選で道路特定財源の「一般財源化」を公約した小泉首相は、〇二年度予算で自動車重量税の一部、二千二百四十七億円を道路以外に回し、「改革の成果」だと宣伝しました。しかし補正予算で三千六百億円余の道路整備費を計上したことで帳消しになっています。しかも〇三年度予算案では、道路特定財源からの新たな投入ルートをつくったため、ほとんどが道路関係に消化されます。道路特定財源は、一年足らずで事実上の全面復活となりました。
その内容は、まず高速道路建設の「新直轄方式」導入です。〇五年度からの民営化のため、道路公団が建設をやめるとみられる不採算高速道路を、国と地方が三対一の割合で負担し建設を続けます。〇三年度は国負担分一千億円を計上しています。
地方が新直轄方式による負担増と、市町村道への国庫補助削減に直面するため、自動車重量税から九百三十億円を、地方に税源委譲します。
さらに、本州四国連絡橋公団の三兆五千五百億円の債務のうち、一兆三千四百億円を国の負担で返済するという、大赤字の穴埋めまでします。〇三年度では二千二百四十五億円が予算化されています。
結局、他の道路予算が削減されても二兆八千億円の道路特定財源(一般会計国税分)が丸ごと道路関係に消えます。政府は今、自動車排ガス対策など道路に関係するものに「使途拡大」したと宣伝していますが、わずか四百億円です。地方を合わせた五・五兆円規模の特定財源が道路整備に使われます。
(博)
〔2003・3・9(日)〕