2003年3月12日(水)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 中山間地農家への直接支払い制度が導入されて三年たちますが、予算の未消化が多いのはなぜですか。(茨城・一読者)
〈答え〉 中山間地域の農業は耕地面積や農家戸数、農業粗生産額の四割前後を占め、国土保全や水源かん養、環境保全など多面的機能も果たしています。農林水産省の統計で用いる「山間農業地域」「中間農業地域」をさし、平地より営農が不利な山間地や傾斜地などが多いため、高齢化や担い手の減少、耕作放棄の増加で多面的機能の喪失が懸念されています。
二〇〇〇年度に導入された、「中山間地域等直接支払制度」は、中山間地の農業生産を維持するとりくみに交付金を交付し、多面的機能を確保する政策です。割高な生産費の、平地との格差の八割を目安に交付額を設定し、国・都道府県・市町村が資金を積み立てます。〇二年度政府予算では三百三十億円でしたが、厳しい交付条件のため、大幅な未消化が生じています。政府はそれを理由に〇三年度予算案では百億円減額し二百三十億円としました。
いま交付を受けるには、特定農山村法などの指定地域内で市町村長が「おおむね十年以上にわたり農業上の利用を確保すべき土地」として指定する「農用地区域」の農地でなければなりません。そのうえ「勾配が田で二十分の一以上」などの条件が合い、一f以上のまとまった農用地であることが必要であるため、個別の場合もありますが、農家が集団をつくり「集落協定」を結ぶのが普通です。
しかも、対象農地の農業生産などを「五年間以上継続」することが交付条件で、離農や耕作中断などがあれば交付金は返還することになっています。高齢化などで五年先の見通しもたたず、返還しなければならないことが重荷となっています。実態に合わない要件を緩和し、対象地域の拡大や交付条件緩和など拡充が必要です。
(水)
〔2003・3・12(水)〕