2003年3月14日(金)「しんぶん赤旗」
公明党は、イラク問題で「平和解決へ全力の公明党」(公明新聞九日付)などと大宣伝をしています。しかし、実態はまったく逆で、世界の反戦運動を「アメリカの圧力をぬくような利敵行為」(冬柴鉄三幹事長)と敵視したかと思うと、今度は米国まででかけて武力行使容認決議案「支持」を表明。平和解決にとことん背を向けているのが、公明党の姿です。
公明党が「平和解決」で売り物にしているのが、神崎武法代表らの訪米団が「国連、米政府と独自外交」したというものです。
ところが、三月四日、アーミテージ米国務副長官と会談した神崎代表が真っ先に表明したのは、米英などが国連安保理に提出(二月二十四日)していた「新決議案」への「支持」でした。
「新決議案」は、「イラクが(安保理)決議一四四一が与えた最後の機会を逸した」と断定し、国連による査察の打ち切りを求め、武力行使に道を開く内容。神崎氏は、この「新決議案」について、アーミテージ副長官に「日本政府は新決議案を支持しており、公明党も政府と同じ考えだ」とのべたのです。(公明新聞六日付)
翌日、神崎氏はアナン国連事務総長に要請文を手渡していますが、そこにも「査察継続」という文言はいっさい出てきません。
今月七日、米英が武装解除の最終期限を十七日と限った「修正案」を提出すると、神崎氏はただちに「修正案を提出したことは、国際社会が一致結束してイラクにあたろうという決意の表れで評価したい」と表明しました。
いま国際社会は、査察の継続・強化による平和解決の道か、それとも米英などによる無法な戦争かの岐路にたっています。世界と日本の世論の圧倒的多数は査察継続による平和解決を求めています。このときに、公明党は「平和解決」の看板の裏で、査察を打ち切り武力行使を強行しようとする米国支持を国際舞台で表明しているのです。
「平和解決に全力」などという公明党のごまかしは、米国が戦争への動きを強めるなかで、いよいよ通用しなくなっています。
当初、公明党は安保理が米国になびくとみて、「常任理事国で一、二カ国が反対する状態で武力行使した場合、日本は容認するだろうが、公明党は賛成できない」(冬柴氏、「日経」二月四日付インタビュー)としていました。
ところが、仏ロ独中が米国の武力行使に反対し査察継続を要求する態度を打ち出すと、「間違っている」(冬柴氏)と非難するようになり、ついには「新たな決議がないまま米国が攻撃に踏み切った場合…原理主義的に『支持しない』と言うほど頭が固いわけではない」(冬柴氏、「産経」二月二十四日付)と国連決議なしの武力行使への支持まで示唆するようになりました。
「平和解決」を宣伝しながら、それと正反対の武力行使支持への道をひた走る公明党は、小泉内閣の態度と同様、世論をあざむく「二枚舌」そのものです。
神崎代表 日本政府は新決議案を支持しており、公明党も政府と同じ考えだ(アーミテージ米国務副長官に、公明新聞6日付)
冬柴幹事長 戦争反対とか、(米国の)圧力を抜くような利敵行為のような、それは解決を先延ばしする(2月16日、NHK番組で)