2003年3月15日(土)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク14日浜谷浩司】国連安保理は十三日午後、イラクへの武力行使に道を開く米国などが提案した決議案の取り扱いを協議しましたが、決議案への態度を明らかにしていない六非常任理事国のうち、チリが支持を否定するなど、採択に必要な九カ国以上の賛成が得られず、結論が出ないまま散会しました。
安保理は週末も協議を続ける見込みですが、ブッシュ米政権は今週中の採決を断念。「今週中の採決」を公言していたブッシュ政権は新たな痛手を受けました。
パウエル米国務長官は十三日、下院の公聴会で、決議案を「採決しない選択肢もある」と表明しました。その上でイラクの武装解除が「平和的に行われない場合には同盟を率いて行う」という表現で、新しい決議なしでも軍事攻撃に踏み切る構えを示唆しました。
フライシャー米大統領報道官も「目標は同じでも道はいろいろだ」とのべ、パウエル発言を追認しました。ブッシュ大統領は、新決議案が採択されなくても武力行使できると再三表明しています。
決議の採決が十七日以降に持ち越されたなかで、ホワイトハウスは十四日、ブッシュ大統領が十六日に大西洋上のアゾレス諸島(ポルトガル領)で、ブレア英首相、アスナール・スペイン首相と三国首脳会談を行うと発表。イラク問題での手詰まりを打開するための協議を行うものとみられます。
一方、非常任理事国六カ国は独自案を検討しています。この中には安保理決定のない「自動的な」戦争開始は含まれていないとしています。