日本共産党

2003年3月16日(日)「しんぶん赤旗」

産業再生機構が「再生」する企業とは?


 〈問い〉 小泉内閣が新設しようとする産業再生機構はどんな企業を「再生」するのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 小泉内閣は昨年秋の「改革加速のための総合対応策」(総合デフレ対策)で産業再生機構の新設を打ち出しました。「要管理先債権」に区分されている企業を基本に、非主力銀行から債権を買い取って主力銀行(メーンバンク)とともに「再生」にあたるという機関です。政府が十兆円まで債務保証するため、失敗すれば税金投入です。今国会に法案が提出され、審議が始まっています。

 政府は再生機構の支援対象について、「規模の大小を問わない」などと、中小企業も視野に入れているように説明しています。しかし設立目的や支援の枠組みからすると、支援対象になるのは事実上、一握りの大企業とならざるをえません。

 機構法案の第一条は、再生機構が行う「支援」の目的を示しています。これによると、対象は「有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている事業者」で、「過剰供給構造その他の当該事業者の属する事業分野の実態を考慮」した支援でなければならないとしています。産業分野の「過剰供給」改善につながるかが支援決定の重要な要件というのであれば、想定されているのは大規模な企業です。

 しかも「産業再生」といいながら、実際にやるのは個別企業の救済だけです。ゼネコンでは大手でも一社の売上高は業界の数%程度で、債務免除や不採算部門切り捨てなどで「再生」しても過剰供給は解消しないとの指摘もあります。再生機構が債権を買い取るのは主力銀行と当事者企業の計画を進めるためであり、利害調整が難航する非主力行からの買い取りは、当然、高めとなります。

 結局、本来銀行自身の責任で行うべき企業再生を、再生機構が肩代わりしてやることになります。しかも「再生」を錦の御旗に、機構が労働者や中小企業切り捨ての大リストラを推進することになり、不況をいっそう「加速」させます。

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 〔2003・3・16(日)〕


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