2003年3月17日(月)「しんぶん赤旗」
全国の地方議会で、健康保険本人三割負担の実施凍結・延期などを求める決議、意見書に、公明党だけが反対する事態が相次いでいます。深刻な経済危機のなか、国民への負担増押しつけで突出する公明党の姿は、地方議会での同党のかつての立場からみても異常です。
一九九七年に橋本内閣が、健保本人二割負担を導入する医療改悪法を強行・実施したときには、公明(新進党合流後の参院・地方議員中心の組織)は、地方議会で「医療保険制度改悪に反対」などの「意見書提出運動」にとりくんでいました。
この運動は、同党が「地域から国を動かす改革のうねりを起こしていく」(前島伸次郎議会局長、公明新聞九七年八月二十七日付)と位置づけたものでした。そのなかで、「医療保険改悪に反対」は、次のような内容となっていました。
「サラリーマン本人三割負担、大病院では五割負担などと、またもや政府は国民への大幅な負担増を狙っています。政府が画策している改悪案は『抜本改正案とは名ばかりで、単なる国民の負担増が中心』で、速やかに同案を撤回し、国民の英知を集めた改革案を再検討するよう求めていくものです」(公明新聞同年九月八日付)
公明党が九七年三月、九月と二度にわたって「医療保険制度の改悪に反対する意見書(案)」を提出した富山市議会の例をみると―。
同党は、厚生省(当時)が公表した健保本人三割負担を盛り込んだ「医療保険制度の改悪案」について、「医療費の負担増をすべて患者や被用者に押し付けるとともに、政府管掌保険への国庫負担の削除を予定するなど、医療に対する公的責任を放棄している」と批判。「『地獄の沙汰(さた)も金次第』への医療に道を開く内容になっている」として撤回を求めていました(九月議会に提出した意見書案)。
ところが、今年三月の同市定例議会で公明党は、日本共産党や各団体から出された健保本人三割負担の実施凍結を求める意見書案、請願に、議会運営委員会の段階でことごとく反対し、自ら「地獄の沙汰も金次第」への医療に道を開く先頭に立っています。
埼玉県議会では、九七年六月に採択された「医療保険制度の抜本的改革促進を求める意見書」と、九九年十二月に採択された「医療・福祉の充実を求める意見書」で、公明党は賛成するだけでなく、他会派とともに共同提出者となっていました。九九年採択の意見書では、健保本人二割負担導入を批判したうえ、「今後更なる負担増は行わないこと」などを求めていたのです。
ところが、今年三月七日には、埼玉県医師会などが提出した、健保本人三割負担の実施凍結などを求める請願について、公明党だけが「三割負担反対だけを叫ぶことは無責任のそしりを免れない」(福永信之議員)として反対したのです。
公明党の冬柴鉄三幹事長は「(三割負担を)公明党だけが熱心に推進しているのではないかという批判を受けている」と自民党に泣きつきました。しかし、議会での態度表明やかつて自ら推進した決議・意見書にもそむいて悪政を推進する道理のなさを示すだけです。