2003年3月17日(月)「しんぶん赤旗」
【カイロ15日小泉大介】イラク戦争をめぐり事態が緊迫するなか、アラブ世界では、米国と一体となり事実上の戦争推進勢力となっている日本政府への批判が日増しに高まっています。
エジプトの政府系有力紙アルアハラムは十四日、「日本…。いつになれば米国にノーをいうのか」と題する東京特派員の記事を掲載しました。
同記事は、日本が米国との軍事同盟を優先させ米支持に固執していると指摘。国民の八割がイラク戦争に反対しているのに、政府は新たな決議なしでも米国のイラク攻撃を支持しようとしていると紹介。五万人もの米軍を自国に駐留させ、米を支持する日本政府は、戦後政治が基本としてきた平和原則を危機にさらしているとのべました。
さらに記事は日本にとっての第二の道を提起。「それは中東との関係における独立した立場であり、ワシントンの立場と指示に従うものではない。日本はアラブ諸国と石油に限らず多角的な経済と貿易関係を築くことで利益を得られるし、われわれもその必要性を信じる」と強調しました。
同紙はこれまでにも「米国のイラク戦争に絶対的に反対のドイツと絶対的に賛成の日本」(二月十九日付)とする記事を掲載し、同じ米国の同盟国でなぜこのような違いが生まれるのかと批判していました。
カイロで十五日におこなわれたイラク戦争反対集会では「ヒロシマ・ナガサキの悲劇を体験した日本がなぜ米を支持するのか」との声があがり、カイロ大学のコヘーラ教授は「小泉首相は日本の平和原則にのっとった声をあげてほしい」と強調しました。
アラブ諸国では昨年十二月、日本がイージス艦を派遣した際も批判の声が聞かれました。状況次第では今後、日本政府批判がさらに広がる可能性があります。