日本共産党

2003年3月18日(火)「しんぶん赤旗」

小泉首相のイラク戦争支持表明

従来の言明を翻す無責任


 十六日の米英スペイン三国首脳会談で、ブッシュ米大統領が十七日にイラク問題での国連安保理協議を打ち切る方針を示したことについて、小泉純一郎首相は十七日、世界中のどの国の首脳にも先がけて「支持」を明言しました。

決議なしの戦争を容認

 この方針は、対イラク武力行使につながる修正決議案の十七日中の採択を安保理に迫り、さもなければ決議なしに戦争に踏み切るというもの。いずれの場合も戦争以外に道はない事実上の「最後通告」を国連につきつけたものです。

 それを早々と支持する小泉首相の態度は、対イラク戦争を容認するきわめて重大なものと言わなければなりません。

 小泉内閣はこの期に及んでまだ、米国の方針を「イラクが自ら武装解除するための外交努力」(川口順子外相)としています。しかし、もはやそんな欺まんは通用しません。

 首相が「いままでの国連決議で(武力行使は)可能だと思う」とのべ、新しい国連安保理決議がなくても決議一四四一を根拠にイラク攻撃は可能だとの考えを示したのも重大です。

 日本政府はこれまで、「米国の代表も、この決議(一四四一)には武力行使に関する隠された引き金も自動性も含まれていないと述べているので、そのように理解している」(福田康夫官房長官、二〇〇二年十一月十一日、衆院有事法制特委での答弁)とくり返し表明。同決議が自動的な武力行使を認めたものではないという立場を表明してきました。

 そして武力行使には新たな決議が必要だとして、米英スペインが持ち出してきた決議案(二月二十四日)、修正決議案(三月七日)の採決を求めてきました。

国連憲章を踏み破る無法

 ところが、ブッシュ大統領が十六日の三国首脳会談で決議一四四一にもとづいて対イラク武力行使ができるとの認識を示したとたん、小泉首相はそれまでの日本政府自身の立場を百八十度転換させたのです。国連憲章を踏み破る無法な武力行使を認めるのかどうかの重大問題で、これほど無責任な態度はありません。

 しかも、ブッシュ大統領はフセイン政権の“交代”まで明言しました。フセイン政権の“交代”は決議一四四一にも盛り込まれていないばかりか、そもそも違法な要求です。それを求める米国の方針を支持することは、日本政府がそうした無法まで容認することになります。

 こうした日本政府の態度の大もとにあるのは、米国が何を決めようと無批判にそれを支持する姿勢です。小泉首相は十七日、米国の方針について「すでに前から支持している」と表明しました。

 米国が新たな安保理決議を提案するや、支持を表明して多数派工作までやり、新決議なしの武力行使に踏み切る構えを示せば、“武力行使に新決議は必要ない”と翻す−−国際法の道理もふまえなければ、外交の定見ももたない、米国支持先にありきの態度は、許しがたいものです。(山崎伸治記者)


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