2003年3月18日(火)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の八田ひろ子議員は十四日の参院予算委員会で、政党支部や資金管理団体をトンネルにして、企業団体献金を政治団体に流していたという、大島理森農水相の新たな疑惑を追及しました。
政治資金規正法により、企業団体献金の受け皿は政党支部に限定されています。政治家個人の資金管理は、本人が代表を務める政治団体の一つを資金管理団体に指定し、そこに一元化するようになっています。政党本位、政策本位の政治を進め透明性の確保を図るという理由からです。
大島農水相の場合はどうか。追及が始まると、議場は緊張感に包まれました。八田氏が配布したのは、二〇〇〇年に大島氏が受け取った企業・団体献金(約七千九百万円)がどう支出されているか、資金の流れを示した資料です(十五日既報)。大島氏が代表を務める政党支部(自民党青森県第三選挙区支部)の支出の大半、資金管理団体に至っては支出のすべてが、大島氏が関係する政治団体への寄付・交付金に回されていることが明らかにされました。
八田議員 あなたの支部、資金管理団体は、肝心の政党政策活動はなく、トンネルとして政治団体にお金を流しているだけではないか。
大島農水相 法律にのっとって処理している。共産党の皆さんですら、私の資金管理団体などすべてのものを細かに勉強されて質問される。透明性が高まっている結果だ。
国民の目に届かない資金の流れを独自調査で明らかにした八田氏の追及。それをもって“透明性が高い”かのように開き直る大島氏の答弁に、議場からも失笑がもれます。
「トンネルだ」の追及は痛かったと見え、「自由な政治活動のためには多くの人に参加してもらう必要があり、企業献金は必ずしも悪ではない」と話をすりかえ、必死に弁解します。
八田氏は「企業献金を受け取ってはならない政治団体に、トンネルを通っていっているのはダメではないかと聞いている」と追撃。大島氏の政治団体のうち、経済社会開発研究会と大島理森後援会(東京)について、代表者、会計責任者、所在地を尋ねると、強気だった大島氏が口ごもります。
八田 二つとも同じ場所ですが、事務所はあなたの秘書の自宅になっているんですか。
大島 調べないとわかりません。申し訳ありません。
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資金が流れ込んだ政治団体の核心に迫るとしどろもどろとなり、「調べます」の一点ばりです。
八田氏は調査をもとに、二つの政治団体が同じ住所で、大島氏の秘書が代表者や会計責任者を務めていることを明らかにしました。
その上で八田氏は、二つの政治団体の支出の中身をつきつけました。(表)
八田 収支報告を見て、お金がぐるぐる回ってきた謎が解けた。支出のほとんどが会食費だ。選挙の年の二〇〇〇年の収支だが、調査研究費がわずか六−八万円に対し、会食代、贈答品など交際費が一千万円以上だ。だれをこんなに接待するのか。
ぶぜんとした表情で聞く大島氏。資金がたどりついた政治団体の実体は接待だけという新たな大島疑惑に対し、八田氏は「ここには政治や政策活動もなければ透明性もない」と厳しく批判。大島氏の辞任と、関係秘書の参考人招致を求めました。