2003年3月19日(水)「しんぶん赤旗」
【ドーハ17日岡崎衆史】サウジアラビア政府は十七日、閣議後声明を出し、イラク攻撃反対を改めて表明、問題の平和解決を求めました。
声明は、サウジアラビア政府がこれまでイラク戦争回避に向けてあらゆる分野で努力してきたことを確認した上で、国連安保理でのイラク問題の協議について、「危機を平和的に解決することに焦点を当て、中東地域での戦争を回避しなければならない」と強調。また、「安保理は、世界の安全と平和を守り、加盟国の独立、主権、利益、領土保全を確保しなければならない」と、戦争回避に向けた国際的な努力をさらに継続するよう求めました。
一方、サウジのナエフ内相は、同国のオカズ紙十七日付で、「武力で他国に侵入することは許されない」と警告し、対イラク武力行使に踏み切る構えの米英両国をけん制しました。
【ベルリン17日片岡正明】ドイツ各紙は十七日付で、ブッシュ米大統領がイラク戦争へ踏み出す最後通告を国連安保理に行ったことを厳しく批判する論評を掲載しています。
ターゲス・シュピーゲル紙は「戦争で孤立」との見出しでブッシュ米大統領が数百万人の戦争反対デモやローマ法王の警告、さらに同盟国の意向を無視して戦争を実行しようとしていると批判。この戦争は「米国がイラクから攻撃されたわけでも、国際法を守るためでも、民族浄化から人々を救うためでもなく、打算によるもの」と述べています。
マンハイマー・モルゲン紙も米、英、スペインの三カ国は「国連安保理の過半数どころか世界の大部分の意見を否定した」「彼らはすべての責任を負わなければならない」と論じています。
シュツットガルター・ツァイトゥング紙はこの最後通告で「国連、北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)、そして西側の統一が犠牲となった」と論評。
南ドイツ新聞は「戦争への決断を遅らせるだけ、国際社会でますます戦争反対の抵抗が強まることがはっきりしていた」と、米政権らが反戦世論の広がりを恐れていたと指摘しています。
【ワシントン17日遠藤誠二】ブッシュ米大統領が対イラク軍事侵攻に向けた「最後通告」演説をおこなった十七日、米国内の反戦・平和連合体は新たな反戦キャンペーン行事を開始。同組織は、開戦の場合、全国各地で抗議行動を展開する計画です。
反戦連合体の一つ「平和と正義のための連合」(UFPJ)は、十七日から二十四日まで「非暴力週間」と銘打って、ワシントンはじめ国内各地で議員にたいする働きかけや集会などの行動を開始しました。UFPJは二十二日に、ニューヨークで大集会を開きます。
もう一つの反戦連合体「戦争と人種差別終結を今こそ」(国際ANSWER)は、十八日にニューヨークのユニオン広場で緊急集会を開く予定です。
これら組織は、開戦の場合には、各地で抗議行動をとるよう国民に呼びかけています。アメリカ・フレンズ奉仕委員会や他の平和組織は、連邦政府の建物、米軍施設前などで抗議の座り込み行動もしくはダイインを計画しています。青年・学生組織は、大学、高校などでストライキをおこないます。ボストンのハーバード大学では、千人以上の参加で学生ストがおこなわれる予定。
その他、ベトナム戦争時、反戦運動の拠点となったサンフランシスコや、ペンシルベニア、ミシガン、コロラド、ニューハンプシャーの各州などで大規模な抗議デモが計画されています。
【ハノイ18日北原俊文】ブッシュ米大統領がテレビ演説でイラクに最後通告をつきつけた十八日午前、ベトナム各地で対イラク戦争反対の集会が開かれました。
首都ハノイでは、復員兵協会中央委員会とハノイ市委員会が共同して集会を開き、米国による対イラク戦争の阻止と、問題の平和的解決を訴えるアピールを発表しました。
中部のダナン市では、学生や知識人など約五千人が集会を開き、平和を訴えて市内をデモ行進。南部のバクリエウ省では、約二千人が集会を開き、戦争反対、問題の平和解決を求める決議を採択しました。
【ベルリン18日片岡正明】ローマ法王庁は十八日、ブッシュ米大統領に対し、イラク攻撃を強く警告しました。声明で、「国際法で保障されるすべての平和的手段がつきたと決断した者は神と良心、歴史に大きな責任を持つ」と表明しています。
【ドーハ17日岡崎衆史】イエメンのキルビ外相は十七日、同国を訪れたイランのハラジ外相と首都サヌアで会談し、対イラク武力行使反対で一致しました。