2003年3月20日(木)「しんぶん赤旗」
公明党は、イラクに武力行使の最後通告をつきつけたブッシュ米大統領の演説に「遺憾」などといいながら、それを即座に支持した小泉内閣の態度については「やむを得ない」と了承する神崎武法代表の談話(十八日)を発表しました。
米国の武力行使を支持する小泉内閣と同一歩調をとりながら、支持者への手前、「遺憾」などというポーズをとる――二枚舌で国民をあざむくやり方はもう通用しません。
米国のイラク戦争計画は、本格的軌道に乗りつつあった国連の査察による平和解決への道を断ち切るという点でも、国連安保理の支持も国連憲章と国際法の根拠もない無法な先制攻撃そのものだという点でも、絶対に許されない無法な戦争です。
公明党もイラク問題の経過のなかでは、国連決議なしの武力行使にはくり返し「反対」の意向を示し、十八日には冬柴鉄三幹事長が「私は、武力行使するのであれば、直近の(新たな)安保理決議が必要との考え方をとっている」「『新決議なし』については、国連を壊してしまうので反対という考えは変わらない」(公明新聞十九日付)とのべています。
そうであれば、決議なしの米国の戦争計画にはっきり「反対」といえばいいのに、それができないのが今の公明党です。「反対」と明言すれば、米国の戦争計画を支持する小泉内閣の与党としての立場を失いかねないからです。
結局、「決議なしの武力攻撃反対」も口先だけ。支持者と国民をあざむくポーズにすぎなかったのです。
さりとて、支持者の手前戦争「支持」と明言することもできず、出てきたのが「遺憾」表明です。
神崎談話によれば、「国際社会が一致結束してイラク問題に対応することが極めて重要であっただけに、遺憾と言わざるを得ない」というのです。 公明党はこれまでも、口では「平和解決」をいいながら、米英の武力行使容認決議案にたいし、米国を訪問して「支持」を表明。十七日を最終期限に事実上の最後通告をつきつけた「修正案」についても「国際社会が一致結束してイラクにあたろうという決意の表れで評価したい」(神崎氏、三月八日)とのべていました。
つまり、米国の武力行使に世界が従って「一致結束」する――このことが公明党が求めてきた国際社会の「一致した対応」で、それが安保理で受け入れられないままの米国の「最後通告」が「遺憾」だというのです。米国の戦争計画の無法ぶりに「遺憾」を表明したわけではありません。
冬柴幹事長は「平和の党・公明党は、ただ、口で『反戦、平和』と言うのではなく、平和はつくりださなければならない」(公明新聞十九日付)などとのべました。米国の無法な戦争計画を支持する政府方針を了承しておいて、なお「平和の党」を口にする公明党は、数多くの罪なき人々の犠牲をもたらすイラク戦争によって「平和がつくられる」とでも考えているのでしょうか。
冬柴氏の発言は、「平和の党」の行きついた先を示しています。(F)