2003年3月21日(金)「しんぶん赤旗」
アメリカの無法なイラク攻撃を糾弾する |
日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長は二十日、国会内で記者会見し、アメリカのイラク攻撃開始に対する党中央委員会声明を発表しました。
(一)
アメリカのブッシュ政権は、三月二十日、イギリスとともに、ついにイラクへの軍事攻撃を開始した。
この間、「戦争反対、査察の継続・強化による平和解決を」の声は、人類史上、未曽有の規模で地球全体に広がった。国連安全保障理事国の多数も、世界の圧倒的多数の国々も、武力攻撃に反対し、平和解決の道を真剣に追求してきた。
今回の米英によるイラクへの軍事攻撃は、こうした国際世論と平和解決の努力への最悪の挑戦であり、国際の法と正義に照らし、断じて容認できない。
日本共産党は、この暴挙を厳しく糾弾し、軍事攻撃の即時中止を強く要求する。
(二)
第一に、この戦争は、国連憲章の平和のルールを真っ向から踏みにじるものである。
国連安保理は、今回の戦争の「根拠」となるいかなる決議もおこなっていない。だからこそ、米英は、武力行使に道を開く新決議案の成立を執拗(しつよう)にもとめたのである。ところが、その企てが孤立し、失敗に終わった。このことは、この戦争が国際法上の根拠をもたないことを証明するものである。
国連憲章は、武力攻撃を受けていないのに、各国が勝手に武力行使をすること、すなわち先制攻撃を厳しく禁じている。今回の戦争が、国連憲章違反の先制攻撃であることは明白である。
この戦争は、イラク問題での無法にとどまらず、国連憲章が規定した平和の国際秩序にたいする正面からの挑戦であり、世界平和の秩序ある体制をきずこうとしてきた諸国民の多年にわたる努力をくつがえすものであって、絶対に許すことはできない。
第二に、この戦争は、イラクの大量破壊兵器問題を平和的に解決する道を、力ずくで断ち切ったものである。
国連査察団は、大量破壊兵器の廃棄のためには、「数カ月間の査察延長」が必要だとの報告を安保理におこない、そのための「作業計画」まで提出していた。大量破壊兵器の廃棄に向けた査察は、本格的軌道に乗ろうとしていたのである。
平和解決の道は開かれていた。この道を武力でもって断ち切るアメリカ政府の行為は、アメリカ政府にとっては、大量破壊兵器の廃棄の課題が目標ではなく、武力によるフセイン政権の打倒こそが、本来の最大の目的であったことを、あからさまな形で実証したものである。
そのことは、開戦にあたって、ブッシュ大統領が、「フセイン大統領のイラク退去」や「政治体制の転換」を公然と要求し、それが中東地域にとっての新しい「民主的」モデルとなるという見通しさえ、展開して見せたことにもはっきりしめされた。これは、他国の主権尊重、内政不干渉を定めた国連憲章の条項を公然とふみにじり、アメリカいいなりの政権を武力でイラクと他の中東諸国に押しつける無法にほかならない。
第三に、この戦争は、罪なき人々の命を多数奪い、傷つけるものであり、許されない非人道的戦争である。
アメリカは、すでに五百万人の市民が暮らす首都バグダッドへの爆撃を開始している。国連の内部報告でも、五十万人が戦闘の直接の犠牲になり、約三百万人の難民・国内避難民が発生すると指摘している。イラクの無実の人々を大量に殺傷する戦争を、「自由と平和」の名でおこなうことほど、許しがたい偽善はない。
(三)
この無法で、野蛮な戦争を「支持」した小泉内閣と与党である自民党、公明党、保守新党の責任も重大である。
小泉首相や自民党、公明党、保守新党は、この間、「戦争反対、平和解決」をもとめる世論と運動や、国連安保理で「査察継続、平和解決」をもとめるフランス、ロシア、ドイツ、中国などの態度を、「利敵行為」とまでよんで非難し、ひたすらアメリカへの追随と迎合に終始してきた。
「戦争放棄」「武力行使の禁止」を明記した憲法第九条を踏みつけにする小泉内閣や与党三党の態度は、世界平和への敵対行為であり、平和や人命の尊さを語る資格はない。
日本共産党は、党創立以来八十年、侵略戦争反対をつらぬいた平和の党として、「イラク戦争反対、平和のルールを守れ」の旗を高くかかげ、国内外の平和をもとめる人々との共同をさらに強めるため、全力をつくすものである。