日本共産党

2003年3月22日(土)「しんぶん赤旗」

無法なイラク戦争 直ちに中止せよ

ともに力あわせ戦争勢力を包囲しよう

大阪駅前2万人超える

志位委員長が訴え


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歩道橋、道路をうめつくし、志位委員長の話に耳を傾ける人たち=21日、大阪駅、阪神百貨店前

 日本共産党の志位和夫委員長は二十一日、大阪駅阪神百貨店前で街頭演説に立ち、二万人をこえる聴衆を前に、前日、米・英などが強行したイラクへの武力攻撃について、「ひとかけらの道理もない」と糾弾し、即刻中止を求めるとともに、「ともに力あわせ、戦争勢力を包囲しよう」と、よびかけました。また、「この問題はいっせい地方選挙の大争点ともなりました。真の平和の党、日本共産党をのばしてください」と熱烈に訴えました。

 志位委員長が訴えはじめると、歩行者が次々と足をとめ、歩道橋の上もたちまちいっぱいに。「イラク戦争即時中止せよ」との横断幕やプラカードも目立ち、戦争反対の府民の思いが街頭にあふれました。

 志位氏は冒頭、米英によるイラク戦争を「世界で孤立し、外交で大失敗した果てに、突入したもの」と特徴づけ、その無法ぶりを、三点にわたって詳しく解き明かしました。

平和のルールくつがえす無法な先制攻撃の戦争

 第一は、国連憲章にもとづく平和ルールをくつがえす無法な先制攻撃の戦争であることです。

 このなかで小泉首相が、米英軍による武力行使の「法的根拠」に、国連決議六七八、六八七、一四四一をあげていることに対し、「このなかには一つも、戦争の根拠となるものはない」と批判。そのことを二十日の衆院本会議で志位氏が追及すると、首相は「湾岸戦争の停戦決議六八七の重大な違反が生じていることから、停戦の基礎が損なわれ、決議六七八にもとづき武力行使が正当化される」とのべたものの、停戦協定が失効したことを示す国連安保理決議をしめせなかったことを指摘。「こんな議論は到底なりたたない」と批判しました。

 小泉首相が「この見解は、米国の表明した見解とも一致している」とのべたことについて、志位氏が「『一致している』はずだ。世界のどこにも通用しない米国の主張をただオウムがえしにしただけのことだ」と痛烈にのべると、大きな拍手がわきおこりました。

平和的解決の道を力ずくで断ち切った

 第二が、平和的解決の道を力ずくで断ち切ったものであることです。

 小泉首相が、この戦争を「平和の道が万策尽きて、やむなくおこなった」と弁明していることについて、「まったくの偽り」と批判。現実は国連による大量破壊兵器の査察を本格的軌道にのせるための協議が始まりつつあったことを詳しく報告しました。米国が平和解決を断ち切った理由について、米国の本来のねらいが、大量破壊兵器の廃棄ではなく、フセイン政権の打倒にあったからだと解明しました。

 このなかで「軍事力を展開したことは、査察をすすめる圧力のためだった」という議論に対し、「現実に照らせば、まったくの偽り」と指摘。ある新聞が「米軍のイラク周辺への展開が本格化したのは実は査察が軌道に乗った十二月下旬以降だった」とのべていることを紹介し、(1)査察団がイラク側の協力姿勢を評価した十二月十九日の報告の五日後に二万五千人の兵力が派遣され、(2)「大量破壊兵器の決定的証拠はない」との中間報告が出た一月九日の直後に、六万二千人の大部隊が派遣され、(3)査察団が査察継続を求めた二月十四日の翌日、ラムズフェルド国防長官がさらに増派を命令したことを指摘。「査察が前進したという報告がなされるたびに、大兵力が派遣された。軍事力の展開は、“査察をすすめる圧力”ではなく“査察への道を断ち切るため”であったということが事実ではないか」と告発しました。

非人道的な犠牲を「しかたがない」という立場は許せない

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訴える志位和夫委員長=21日、大阪駅、阪神百貨店前

 第三は、戦争がはかりしれない犠牲をもたらすことです。ユニセフのベラミー事務局長が、イラクの子どもたちの深刻な実態を語り、「戦争で真っ先に子どもたちが犠牲になる」と訴えていることを示して、首相の見解をただしたのにたいし、小泉首相が「フセイン政権の責任だ」といういいのがれに終始したことを批判。「非人道的な犠牲を『しかたがないこと』とする立場は、絶対に許すことはできません」と糾弾しました。

 首相が、戦争支持表明でも自分の言葉を持たず、ブッシュ大統領の「スピーカー役」となっていることを指摘し、さらに政府・与党が、世界で広がる平和の声を「利敵行為」(公明党の冬柴幹事長)などと敵視していることを批判。二十日の衆院本会議でも、冬柴氏が「口で反戦、平和と叫んでも、本当の平和は構築できない」とまでのべたことに触れ、「憲法九条をもつ国の外交を語る資格のない自民、公明、保守新党など戦争勢力を、平和の声で包囲しよう」と訴えました。

 安保理主要国において、フランス、ロシア、ドイツ、中国が平和解決を求める「平和の同盟」を形成していることや、非同盟諸国、アラブ・イスラム諸国の戦争拒否の動き、それらを支える空前の反戦運動について、「戦争は始まったが、これらは必ず二十一世紀に生きて働くもの」と強調。

 自主独立の党として展開してきた日本共産党の野党外交を紹介しながら、「米国のいいなりにならない唯一の党が、日本共産党です」と訴えた志位氏は、小泉首相が戦争支持の最後の弁明に、「日米同盟のため」をあげていることに言及。北大西洋条約機構(NATO)を結ぶドイツなどでも反対の声をあげていることを指摘しつつ、日米軍事同盟の異常な対米従属の姿を告発。

 「こんな無法な戦争の支持を強いる『同盟』なら、それが二十一世紀に果たして必要か。軍事同盟のないほんとうの独立国といえる日本への転換が必要ではないでしょうか。平和の党、日本共産党とともに手をたずさえ、たちあがりましょう。選挙では、八十一年の歴史で試され済みの平和の党を必ず勝たせてください」と訴えると、聴衆から大きな拍手が寄せられました。

 演説にききいっていた吹田市の佐々木洋子さん(25)=保育士=は、「志位さんの話は、とてもわかりやすかった。誰が考えてもこの戦争はおかしい。演説を聞いて、小泉さんは反対する声を聞こうとしていないということが分かる。一生懸命に反戦を訴えているのに、『世論に従うと間違うこともある』なんて、怒りがわいてきました」と話していました。


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