2003年3月22日(土)「しんぶん赤旗」
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京都市などで開催中の第三回世界水会議で二十一日、青年環境NGOが呼びかけた「水の民営化」反対の国際アクションに約百人が参加、水問題とともに「戦争は最大の環境破壊」などとイラク攻撃反対を訴え、会場の京都国際会館周辺をデモ行進しました。
「奪われし水キャンペーン」代表の三本裕子さんらは「民営化は水を企業まかせにすることで、価格の急騰、品質の悪化など安全な水供給ができなくなる」と語り、水の「民営化や官民連携」を推進しようとする閣僚宣言は認められないと訴えました。
行進に参加した京都市の女性教師(32)は家を出たときからずっと「NO WAR」のステッカーを胸につけてきました。
「米国が戦争をはじめる前から多くの人たちが反対していたのに、小泉首相はアメリカの攻撃を支持するといった。国民の声を聞こうとしないのに憤りを覚える。日本がイラク攻撃を支持し、お金をだすというのは戦争に加担すること」と語りました。
イラクへの先制攻撃が始まった二十日には、赤や緑の風船や折りづるを手にしたユース世界水フォーラム分科会の参加者約百人が一本の白いテープを持ち、「人間の鎖」でイラク攻撃・空爆に抗議。「米国によるイラク先制攻撃は一般の市民にたいする人道上許すことができない殺りく行為以外のなにものでもない」という国際青年NGOの声明文を参加者に配りました。
京都市で開かれている第三回世界水フォーラムでは、米英軍のイラク攻撃開始を受けて、参加者から「世界紛争の原因となる水問題の解決を遅らせる」と、米ブッシュ大統領を非難する声が上がっています。
水不足を防ぐ方法として期待される雨水貯留タンクを世界に広めている「雨水利用を進める全国市民の会」事務局長の村瀬誠さんは二十一日、「雨水利用」分科会で発言。「ブッシュ大統領はテキサス州にある自宅の屋根に降った雨を百トンためるタンクを活用しているにもかかわらず、イラクに多数ある市民の飲み水用のタンクを壊そうとしている」と指摘。「戦争のためのタンク(戦車)はいらない。平和のためのタンク(水槽)を」と訴えると、海外からの参加者も含め、会場から拍手がわき起こりました。
世界水会議(WWC)のムハマド・アブザイド会長は二十日、京都市の第三回世界水フォーラム会場で記者会見し、米英軍の攻撃でイラクの水供給・衛生施設が破壊され、市民が被害を受けることを懸念するWWCアピールを発表しました。
アピールは、できるだけ早期に専門家チームを現地へ派遣して被害状況を調べ、復旧へ向けた提言を行う考えも示しています。
WWCは、水問題に関する支援や提案などを行う国際的な組織で、世界水フォーラムの提唱者。
京都市などで開催中の第三回世界水フォーラムの内容を紹介する「水フォーラム新聞」(発行、同事務局)が二十一日号で「銃持つ人が水をコントロールする時代来たら…」と、特集面「フォーラムクリップ」などでイラク攻撃を批判する参加者の声を紹介しています。十六日から連日発行された同紙がイラク攻撃への批判を特集的に掲載したのは、参加者の思いを反映したものといえます。
同新聞は、英語と日本語のページがあり、批判の声を特集的に紹介したのは日本語のページで、イラク攻撃批判記事は二、三、六の各面で掲載されました。「『国際世論を無視した暴挙』『犠牲になるのは弱者ばかり』など、参加者からは軍事行動を厳しく批判する声が相次いだ」と、アメリカ、タンザニア、スウェーデン、エルトニア、日本の参加者の声を紹介しました。
イラクへの先制攻撃について「命の水断つ最悪の破壊行為」という同志社大学の渡辺武達教授の緊急寄稿文を掲載。一面トップでは大見出しで「『水』破壊するな」の文字がおどりました。
米ブッシュ大統領が四十八時間の期限をしめした翌日、十九日付の一面も、会議の内容ではなく、会場前で参加者がキャンドルチェーンで抗議の意思をしめした反戦アクションを大きく報道しました。