2003年3月22日(土)「しんぶん赤旗」
二十一日、東京都港区芝公園で開かれたワールド・ピース・ナウ3・21。イラク攻撃という事態に、若い人を中心に五万人をこえる(主催者発表)人たちが参加し、「戦争をやめて」と平和を願う声を広げました。
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足元にハンバーガー二十四個で「NO」の文字を作り、フランスパンをかじりアピールするのは都内の大学二年生、前島賢さん(20)ら三人組。「『人殺しの戦争はだめだ。なにかやろう』と。ハンバーガーは『アメリカの攻撃反対』、フランスパンは『戦争に反対するフランス頑張れ』という意味です。こんなに戦争に反対する人がいるなんて、すごい。勇気がわいてきた」
「ラジオでパレードのことを聞いて、『参加することに意義がある』ときました」と語るのは板橋区から初参加の藤田弓枝さん(35)。「戦争をやめさせるために何かできることはないか、とずっと考えていました。たくさんの人がいてびっくり。あきらめないことが大切だと思います」と話します。娘の明海ちゃん(8っ)も「戦争なんて、ないといいなあ」と、手づくりの戦争反対ペンダントを手にいいました。
「黙っていたら賛成したと見られてしまう」とインターネットを見て集会を知り一人で参加した、栃木・小山市の男性(63)は「疑わしいから爆撃するならどんな戦争も正義になってしまう」と憤ります。「親せきに原爆で亡くなった人もいるんです。日本も戦争への道を歩んでいるようで…」
子どもたちに囲まれて、風船細工でハートや花をつくって渡していた辻ゆきえさん(27)、吉原彩さん(27)も初参加。辻さんは「いま何が起こっているのかは見ておかないと。自分から動かないと、と思って」。吉原さんは「戦争はしちゃいけないし、日本がなんで戦争に賛成してるのか、絶対おかしい。わたしひとりの力は弱いけれど、戦争を止めるためにあきらめない」と話しました。
家族を誘って参加した高校三年生の浜田すみれさん(18)は「高校の友達にも声をかけているんですが、デモに参加する子が増えています」と。初めて参加した兄の和樹さん(20)は「アメリカに引きずられるようなことはだめ。日本政府はひとつの国としてきっちり意見を持って行動しないといけないと思う」といいます。
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「攻撃なんてむちゃよ」。二十一日夕、東京・新宿駅で行われたイラク戦争反対の宣伝・署名は、こう言いながら署名する大勢の人の輪ができ、一時間で千人を超える署名が寄せられました。
全労連など七団体がとりくみ、百人が参加。
日米首脳あてに「イラク攻撃やめて」と求める署名を勧めると用紙を持ち帰る人、部活帰りに集団で署名する高校生も。
弁士が「『戦争反対』といったら、『反対』と声をあげて」と呼びかけると、通行人から「はんたーい」の唱和。
「反対、チャチャチャ」と手拍子がおき、駅から出てきた人から「この盛り上がりは何事」の声。
東京・足立区の西村多津子さん(58)は「家族にも書かせたい」と用紙を持ち帰り、ロシアのアレクサンダーさん(30)は「独立国を攻撃するなんていけない」。
宣伝カーから作家の早乙女勝元、歌手の横井久美子、被爆者の西野稔の各氏らが「戦争をやめて」と訴えました。
東京・港区のアメリカ大使館前には、二十一日も思い思いの抗議の意思をアピールする市民がつぎつぎにあつまり、戦争反対を訴えました。
反戦行動は初めてという人が多いのが特徴です。横浜市の松浦春菜さん(23)は「テレビを見ていて日本人でいることがはずかしい。居ても立ってもいられなくなって」アメリカ大使館前まできました。「ブッシュこそ独裁者」「小泉さんにはがっかり」と手書きしたボードをかかげました。
東京・国立市の岡本裕一さん(20)は「外からすれば小泉総理がアメリカの攻撃を支持した日本は殺す側とみられる」とテレビ報道を見て駆けつけました。
さいたま市から長男(3っ)を連れてきた女性(30)は、「戦争には絶対反対。女性と子どもを苦しめないで」とボール紙に書いて反戦の意思を表しました。
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イラク情勢が緊迫するなか、二十一日昼、学生ら八百人が大阪市北区の中之島公園からアメリカ総領事館へ向けてデモ行進しました。「有事法制に反対する大阪連絡会」が主催したもの。
手づくりのプラカードやタペストリーなどを掲げ、「イラクの子どもを殺すな」「国連憲章を守れ」「小泉首相は戦争に手をかすな」「政府は戦争を支持するな」「アメリカ追従をやめよ」の声が、米総領事館周辺にこだましました。
走行中のバスの中からおじさんが、デモに向かってピースのサインを突き出しました。沿道を歩いていた通りがかりのアメリカ人は、「アメリカ人としてブッシュが恥ずかしい」と語りました。
かえるネット・メールでデモのことを知り参加した兵庫県尼崎市の徳永春穂さん(25)=フリーター=は「同年代の青年たちが殺されています。戦争を少しでも早く止めたい」と話しています。