2003年3月23日(日)「しんぶん赤旗」
四月から医療改悪が実施されると、サラリーマンなどの本人と、家族の入院時の窓口負担が、いまの二割から三割に引き上げられます。七十歳未満の年金生活者(退職者医療)も本人と、家族の入院が三割負担になります。
たとえばカゼと胸痛で外来受診した男性で試算すると、二千百二十円だった窓口負担が、三千百八十円になります。
保険料も四月には、ボーナスからも月給と同じ割合で天引きされる「総報酬制」に。中小企業が入る政府管掌健康保険は、そのうえ保険料が7・5%から8・2%に引き上げられます(労使折半)。負担増は一兆三百億円にものぼります(同)。
日本共産党は、合わせて一兆五千億円の負担増を強いるこの医療改悪に一貫して反対しました。
そして、だれもが安心できる医療制度にするために、(1)削られた国庫負担の割合を元に戻す、(2)高い薬価を欧米並みに引き下げる、(3)国保の二割負担への引き下げなど窓口負担の軽減、保健師の増員などで、早期発見、早期治療の態勢を確立する―の三つの改革を提案しました。
今国会では衆参両院に野党四党共同で、医療費の「三割負担凍結法案」を提出、三割負担中止へ全力をあげています。
小泉内閣と自民・公明・保守新の与党は、国民の反対を無視して医療改悪を押しすすめています。
なかでも公明党は、九八年の参院選(当時公明)で「医療の負担増に反対します」(法定ビラ)、二〇〇一年七月の参院選でも「健保本人の三割負担」に「反対」(全国保険医団体連合会のアンケート)と公約していたのに、公約を破って医療改悪の最強硬派となっています。
七割の国民が三割負担に反対・凍結を求める世論が巻き起こり、「凍結」「実施延期」を求める意見書を採択する自治体が広がっています。
しかしここでも、公明党だけが反対というケースが相次いでいます。(表)
道県議会での公明党の態度 | |
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北海道 | 全会一致で可決。公明党議員が賛成したことに神崎代表が「遺憾」を表明 |
岩 手 | 公明党議員1人が反対 |
宮 城 | 公明党議員2人と一部議員が反対 |
福 島 | 公明党だけが反対 |
新 潟 | 公明党議員は所属会派「みらい」の会派拘束をはずして反対 |
徳 島 | 公明党議員2人だけが反対 |
鹿児島 | 公明党議員2人だけが反対 |
沖 縄 | 公明党は本会議への議案上程に賛成しながら採決時に突然、4人の議員が退場 |
三割負担凍結を求める世論と運動に、自民・公明連合は「凍結したら医療保険財政が破たんする」と躍起です。
しかし医療保険財政の赤字は、長引く不況で労働者の賃金が下がったり、リストラで加入者が減って保険料収入が減少していることが何よりの原因です。
しかも政府は、医療保険への国庫負担を減らし続けています。一方、医療費支出は、政管健保をみると加入者一人当たりの医療費支出は、九六年度と〇一年度を比べると約二万円減っています。
このように健保の赤字は医療費が増えているからではなく、不況や国庫負担削減が原因です。
政管健保の黒字を理由に国庫補助率を16・4%から13%に引き下げた時に、政府が「財政状況が悪化した場合の措置については、必要に応じて国庫補助の復元について検討させていただく」(九二年三月十日衆院厚生委、黒木厚生省保険局長)と約束した通りに、元に戻して国の責任を果たすべきです。