2003年3月23日(日)「しんぶん赤旗」
【パリ21日浅田信幸】フランスのシラク大統領は二十一日、米英のイラク攻撃について、両国は「国際的な合法的枠組みから逸脱した」と批判しました。ブリュッセルで開かれた欧州連合(EU)首脳会議後の記者会見で述べました。
シラク氏は両国が「合法的枠組み」に一刻も早く戻る必要があると表明。同時に、米国によるイラク統治のもとで国連が戦後処理をさせられることを拒否し、「米英の好戦派にイラクの統治権を与える決議は受け入れられない」「それは軍事介入を事後に正当化する手段だ」と述べました。そして、イラクの再建が問題になるときには「そのための機関は国連でしかない」と強調しました。
【パリ21日浅田信幸】フランス外務省報道官は二十一日、米国から要請のあったイラク外交官の追放とイラク大使館の閉鎖を拒否することを明らかにしました。
米国は三月初め、イラク大使館を認めている六十三カ国にたいし、外交官の追放を要請。対イラク爆撃に踏み切った二十日には、大使館そのものを新政権樹立まで閉鎖することを求めていました。ベルギーも外交官追放を拒否しました。
【ハノイ22日北原俊文】マレーシアからの報道によると、同国のマハティール首相は二十一日、「世界は今、大国が目的達成のために他国の指導者の暗殺も辞さないという恐るべき事態に直面している」と述べて、米国によるイラク攻撃を批判しました。
同日開かれた与党、統一マレー国民組織(UMNO)最高評議会の後、記者会見で語ったものです。
国策の武器として暗殺を容認することは大国のモラルの低下を示していると指摘し、「誰が次の犠牲者になるかわからない。恐るべきことだ」と警告しました。
同首相は、イラクへの攻撃に断固として反対すると繰り返し、国連を無視した米国の行動は、紛争解決の国際的システムを破壊したものだと指摘しました。
また、「大国がわれわれを攻撃する気になれば、もはや国連に頼ることはできない。刑の執行人が裁判官なのだから、われわれは有罪になるだろう」と述べました。
同首相は、非同盟運動の議長国として、国連安保理の全理事国に書簡を送ったことを明らかにしました。
【モスクワ21日北條伸矢】ロシアのプーチン大統領は二十一日、「危機は、地域紛争の枠を越え、地域外でも不安定さを生み出す潜在要因になっている」と米国の対イラク攻撃を批判しました。モスクワで開かれた集団安全保障条約(独立国家共同体=CIS=加盟国のうち六カ国で構成)参加国の安全保障会議書記会議で発言したもの。
同会議は二十日、「国連安保理の決定に基づかない米国の(対イラク)軍事行動は国際法違反だ」とする共同声明を発表しました。集団安保条約の加盟国は、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの各国です。
また、ロシアのイワノフ外相は二十一日、米英両国が使用している「反イラク連合」という呼び名について、「実体のない組織だ。国際社会の意思をすり替えるため、広範な連合が形成されたかのような主張を巧みに操っている」と批判しました。
同外相は、イラク攻撃を「違法行為」「侵略」と非難。米国が各国に対してイラク外交官を国外に追放するよう求めたことについて、「法的強制力はない」として、拒否する考えを示しました。
【モスクワ21日北條伸矢】ロシア下院は二十一日、「米英両国などによるイラクに対する侵略と国連の管理下でのイラクの戦後復興」を審議するため、国連総会開催を提案するようプーチン大統領に求める声明を賛成多数で採択。和平実現のため、イラクに国連軍を送ることも求めています。
声明は、イラク戦争が「ロシアの国益を潜在的に脅かす軍事・政治情勢を生み出した」と指摘。ロシアの軍事力強化の必要性が高まっているとして、二〇〇三年度予算を組み替え、国防費を少なくとも国内総生産(GDP)比3・5%以上にすべきだと勧告しました。
【ニューデリー21日小玉純一】インドの西ベンガル州議会は二十一日、米国のイラク戦争に抗議する決議を採択しました。「この戦争は絶対に道理がなく不正義で違法であり、イラクの人々にかつてない苦悩をもたらす」と決議は指摘しています。同州ではインド共産党(マルクス主義)=CPIM=を中心とする左翼連合が与党です。
州都コルカタでは二十一日、戦争に抗議してバス労働者が三十分間ストライキを行い、CPIMなど十九の政党が呼びかけて市民がデモ行進しました。