日本共産党

2003年3月24日(月)「しんぶん赤旗」

ブッシュ無法戦争(2)

「爆撃ショー」の下には人間が…

全米でデモ


 【ワシントン22日遠藤誠二、浜谷浩司】ブッシュ大統領の足元で続いてきた米国の反戦運動が週末の二十二日、全国で一気に燃え上がりました。

 ニューヨーク中心街のブロードウェイでは、三十万人近くが三十街区にわたって列をつくりました。サンフランシスコでは市庁舎前広場を数万人が埋めました。

 「ブッシュの戦争をやめさせよう」「石油のために血を流すな」「軍を国に帰せ」「恥を知れ、ブッシュ」

 ワシントンでも、ホワイトハウス前の公園で千人近い市民が声をあげました。

 「テレビは爆撃をショーのように映す。ビルの破壊は見えても、人は見えない。バグダッドには『サダムと二人の息子』しかいないかのようだ」と攻撃側に立った戦況報道を続ける一般マスコミ報道への強い批判が聞かれました。

 「いまは『緊急対応』だ。だが、より長期のたたかいへの移行も視野に入れている。ベトナム戦争を終わらせたときのようにね」―平和運動の高揚を生み出した団体の一つ「国際ANSWER(戦争阻止と人種差別停止を今こそ)」の運営委員チャック・カウフマン氏(50)が言います。

 「イラクで起きていることは、これだけでは終わらない。北朝鮮、イラン、パレスチナ、コロンビア…。互いにつながっている」

 開戦後、マスコミの世論調査は、戦争支持が「増えている」と伝えています。「真実は違うと思う。ベトナム戦争のときにも半分以上が『賛成』だと言われた。だが、戦争は世論に敗れた」


米英、足元から抗議

米国―元政権関係者らセミナー

「反米感情の世紀招いた」

 【ワシントン22日遠藤誠二、浜谷浩司】大規模な反戦デモが全米を覆った二十二日、ワシントンのアメリカン大学でイラク戦争のセミナーが開かれました。学生や平和活動家、湾岸戦争やベトナム戦争の退役軍人、元政権関係者ら。大学の教会に集まった三百人近くが、口をそろえてブッシュ政権を非難しました。

 ダニエル・エルズバーグ氏は、イラク侵攻を「大規模な戦争犯罪だ。米国は不法な戦争を進めている。侵略行為だ」と断言しました。一九六〇年代末に、ベトナム戦争をめぐる秘密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を暴露し、戦争の行方を左右する役割を果たした同氏。「この侵略は米国の姿ではないし、愛国心でもない」と指摘しました。

 二十八年前、日本への核兵器持ち込みを「証言」して以来、米国の軍事優先主義に警告し続けている「国防情報センター」名誉所長のジーン・ラロック元海軍提督は「体制転換のために殺りくするような戦争は、終わりを迎えられず、災難をもたらすだけ」と主張。「米国に軍国主義がはびこっている」と警告しました。

 「イラク戦争に抗議の声をあげることは軍国主義に反対することだ。沈黙すれば別の戦争が起きる」――反戦の声を広げるよう訴えました。

 戦争経験者も、抗議の声を相次いであげました。

 「十二年前、私たちはイラクで多くの人を殺した。戦争は死と破壊だ。ブッシュ政権はフセインを追い詰めると言う。だが、戦争は一人の人間だけを相手にするものではない。バグダッドの映像は、同時多発テロに襲われたニューヨークを連想させる」(湾岸戦争の退役軍人男性)

 ひときわ大きな拍手で迎えられたのは、ブッシュ政権の対イラク政策に抗議して、国務省を辞めたばかりのジョン・ブラウン氏です。

 「なぜ、米兵士が戦争で犠牲になるのか。罪のないイラク国民がどれだけ犠牲になるのか。経済への影響は。テロの可能性は。ブッシュ大統領は納得のいく説明をしていない。やったのは、時代を反米感情の世紀にしたことだ」

英国―政府の目算はずれる

戦争中として最大のデモ

 【ロンドン22日西尾正哉】「五十万人以上だ。まだハイドパークに人が来つづけているからもっと増える」―主催者の「戦争ストップ連合」の役員の一人は会場の中央舞台の袖で驚いた表情で語りました。

 英BBC放送は百万人と報じました。二日前の記者会見で「準備期間は五日間と少ないが十万人は来るだろう」とした主催者の見通しは二月十五日の未曽有のデモに続いてまた「狂った」ことになります。

 ブレア首相は侵略開始の日の夜、テレビで演説し、「国民の間に深い分断があるのは承知している。英国民は派遣している軍隊の下に団結するものと思っている」と国民に支持を呼びかけました。

 いったん軍事行動が始まれば国民の多くは支持に回ると政府は期待していました。しかしこの日のデモは、戦争反対の声が依然として強いことを示し、戦争が行われている間のデモとして史上最大になりました。

 参加者に共通するのは、何の大義もない侵略戦争で無実のイラク市民が傷つけられているという怒りです。「保守党政権下で育ったので労働党に変わってよかっと思っていました。しかしブレア首相に裏切られた」と語るのは、八歳の娘の手を引いて参加したソーシャルワーカーのシャーロットさん(34)。「ブレア・ブッシュは、国民にも国連にも査察団にも耳を貸さず戦争を始めました。何年も前から決めていたのでしょう。本当に道理のない戦争です」

 戦争に懐疑的な見方を維持するメディアもあります。大衆紙デーリー・ミラー二十一日付は炎上するバグダッドの写真に「大量破壊」の見出しをかぶせました。同紙は前線でたたかっている英軍兵士の勇気には敬意を表すものの、「兵士たちがそこにいることに悲しみと怒りを感じる」と指摘。「恐ろしい空爆を身を隠して待ってるイラクの人たちのことを思うとやりきれない思いだ。多くの市民が、国連の決定がなく、理由なく進められる戦争で殺されようとしている」と厳しく批判しました。


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