2003年3月24日(月)「しんぶん赤旗」
【ワシントン22日坂口明】チェイニー副大統領やパール国防総省顧問などイラクへの先制攻撃強行の急先ぽうとなった米政治家の関係する企業が対イラク戦争で利益を得ていることが判明し、米英両国で議論になっています。
問題の企業の一つは、ディック・チェイニー氏が副大統領になるまで会長を務めていた石油関連企業ハリバートンです。
米国の非政府組織(NGO)コープウオッチのプラタップ・チャタルジー氏によれば、同社の子会社、ケロッグ・ブラウン・ルート社が二〇〇一年十二月に国防総省から兵たん民間補強プログラムを受注。クウェートやトルコでイラク攻撃作戦用の米兵のテント村建設などの作業に従事しています。ハリバートン社の数千人が働き、契約額は十億ドル近いといいます。
同子会社はアフガニスタンやウズベキスタンなどでの米軍の作戦を支援する活動もしています。これは経費節減を理由とした民間企業による米軍活動の下請けの一環として実施されています。
米NGOのセンター・フォー・レスポンシブ・ポリティックスによれば、ハリバートンは、油田や道路、発電所の修復など、対イラク戦争終了後の再建計画の契約の指名入札にも参加。油田修復作業の契約は十五億ドルにも達すると推定されています。ハリバートンと子会社は、大統領選挙でブッシュ大統領に多額の政治献金をしています。
国防総省の諮問機関、国防政策局の責任者を努めるリチャード・パール元国防次官補が役員をする英企業オートノミー社も、やり玉に挙げられています。
同社は、Eメールや電話を盗聴する高性能コンピューターを各国の情報機関に販売しています。一昨年の9・11対米同時テロ以降に「対テロ戦争」が強調されてから、このコンピューターへの需要が高まっています。
英紙ガーディアンによると、米国土安全保障省、軍事情報などの分析をする英政府通信本部(GCHQ)、イタリアの情報機関などが同社の顧客となっています。
パール氏は二〇〇〇年にブッシュ政権が成立する直前に同社に雇用されました。同氏に関しては、破たんした米通信会社グローバル・クロッシングへの顧問活動に対する批判も出ています。
チェイニー、パール両氏は、イラク・フセイン政権の打倒を早くから主張してきたブッシュ政権超タカ派の代表的人物。チェイニー氏はハリバートン会長を辞職後も同社から補償金を受け取っています。イラク攻撃遂行が両氏の個人的利益にも結びつく構図が浮かび上がっています。