2003年3月25日(火)「しんぶん赤旗」
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【ラホール24日小玉純一】 イスラムの古都ラホール(パキスタン)のメーンストリートは、米英軍による対イラク戦争での破壊、殺りくにたいする人々の怒りに満ちました。二十三日、イスラム教政党で野党の統一行動評議会(MMA)が呼びかけた反戦集会には参加者十五万人と同国最大規模となりました。
行動は午後一時集合、二時半にデモ開始、四時に集会が始まりました。
「燃えるバグダッドをテレビで見た。怒りでいっぱいだ。イスラム教徒が殺される」。バイクのエンジン修理で生計をたてるハビブラさん(62)が話します。「日本も戦争でアメリカに原爆を落とされただろう。アメリカが一番ひどい」
宗教学校マドラサで学ぶサーフラー君(16)は「自分の意志で来た。先生が行けといったわけじゃない。アメリカはテロリストだ。ミサイルを次々撃っている。アメリカとたたかうのはイスラム教徒の務めだ」といいます。かたわらでは星条旗に火がつけられていました。路上スピーカーからはコーランが流れています。
バノリフィさん(50)は夫とともに道端に座ってデモを眺めていました。「神がイラクの人を助けるようにと昨夜も今朝もお祈りしました」といいます。プラカードには「石油と血。どっちに価値があるのか」「新しい世界秩序。アメリカ対世界」などの文字が目につきました。
この日の大集会は、二日のカラチ、九日のラワルピンディに続く大規模行動です。
国連安保理の非常任理事国パキスタンは、一方で米国の「対テロ戦争同盟国」です。イラク問題でも米国寄りの態度が米国からは期待されていました。しかし、ジャマリ首相はこの間、「戦争を支持するのは非常に難しい」と発言してきました。十一日の緊急閣議では、国民に受け入れられない決議案を支持すべきでないと一致したと報道されました。
カスリ外相は二十二日の会見で「重要なのは国連安保理がイラクの人々の苦しみを早く終えるようにすることだ」と指摘しました。開戦の二十日にはジャマリ首相が、国連安保理の戦争終結努力を求めています。
しかしMMAなど野党は不満です。ラホール集会で壇上の演説者たちは、アメリカを非難するべきだと政府を批判しました。
MMAは、三十日のペシャワル集会など引き続く反戦行動計画を決めています。