2003年3月26日(水)「しんぶん赤旗」
小泉首相は、米国の無法な戦争を支持する理由の一つとして「日米関係の信頼性を損なうことは日本の国家利益に反する」(十八日)とのべました。自民党の「資料」では、「米国が取る行動を同盟国であるわが国が信頼し、支持することは、国益を守るために当然の対応」とのべています。
国連安保理の決議もなく、国連憲章や国際法の根拠もない無法な先制攻撃の戦争を支持することが、日本の「国益」になるのでしょうか。武力行使に道を開く決議案も取り下げざるを得なかったくらい国際的に孤立している米国に付き従うことは、逆に「国益にも世界の流れにも反する、孤立の道を歩むことになる」(市田忠義書記局長)のです。
しかも、日本政府の態度は、主権国家として主体的に「国益」を判断したというより、米国が勝手に下した独断を唯一のよりどころにして戦争を支持するという「思考停止の対米追従の態度」(志位和夫委員長)そのものでした。
米国の同盟国であっても、フランスやドイツのように、査察の継続・強化による平和解決の道を追求し、それを断ち切る武力行使に堂々と反対した国もあります。
いま問われているのは、無法な戦争を許さず、国際ルールを守るのかどうかであり、「日米同盟」ということをもちだせば、なんでも正当化できるという発想自体、根本的にまちがっています。
また、自民党「資料」は、「北朝鮮という…大きな脅威を隣国に抱えている」から、「米国との同盟関係を維持し、その抑止力をわが国の安全保障のために有効に機能させることが不可欠」などとしています。
しかし、日本の安全をアメリカに守ってもらうために、イラクの罪なき人々を犠牲にしていいなどという議論は成り立ちません。
北朝鮮との関係は、日朝平壤宣言で、核問題、拉致問題、過去の植民地支配の問題などを包括的に交渉することで合意しています。その合意をご破算にするように、「北朝鮮の脅威」をふりまき、米国の軍事力がわが国の安全保障のために役立つかのように主張するのは、与党として不見識極まりないといわなければなりません。
今回のイラク戦争のように、米国が気に入らない政権への先制攻撃を許せば、北朝鮮問題でも米国が同様の手段をとることにつながりかねない危険をはらんでいます。これこそ、日本の国益にも、日本の安全にも反する危険な論理というほかありません。