2003年3月26日(水)「しんぶん赤旗」
韓国国会は二十五日、政府が提出したイラク戦争への派兵同意案を本会議で採決する予定でしたが、国会周辺に数千人の反戦デモが押し寄せるなか、与党・新千年民主党(民主党)と野党ハンナラ党は「世論の動向を見極める」として採決を延期することで合意しました。採決は盧武鉉大統領の国会演説が予定される四月二日以降になる見通しです。
ソウルからの報道によると、国会周辺のほか市内各所で、歌手、作家、映画俳優・監督、学生や市民団体、労組などがそれぞれ反戦と派兵撤回を求める集会、デモを繰り広げました。
民主党の金槿泰議員、ハンナラ党の李富栄議員など派兵に反対する与野党議員十八人は二十五日朝、国会内で会合し、「同盟という名のもとに国連の決議がない侵略戦争にまで参加する根拠はない」とする声明を発表しました。韓国の憲法は、「大韓民国は国際平和の維持に努力し、侵略的戦争を否認する」と規定しています。
本会議前の与野党の議員総会では、反対論が続出しました。民主党は党内のとりまとめを放棄し自由投票を決定。派兵賛成議員が多いハンナラ党でも「韓国を戦犯国家にするのか」と強い反対意見が出され、党議拘束を外しました。
結局、世論の強い批判を恐れたハンナラ党幹部が採決延期を提案し、与党が同意。ハンナラ党の朴鍾熙スポークスマンは、「このまま同意案が採決されれば、わが党が戦争を賛美する集団で、与党は平和を熱望するように見えてしまう」と語りました。