日本共産党

2003年3月26日(水)「しんぶん赤旗」

銀行が国債を買い集めるわけは?


 〈問い〉 国債利回りが過去最低だそうですが、健全企業にも利上げを迫る銀行が、どうして低利の国債を買うのですか。(東京・一読者)

 〈答え〉 最近の東京金融市場では金融機関などが国債購入の動きを強め、国債利回りが低下しています。長期金利の指標となる新発十年国債の利回りは一月に0・8%を割り、過去最低を更新し続けています。健全な中小企業にも利上げを強要するなど収益力強化に血眼の銀行が、利ざやの薄い国債に殺到するのは一見奇妙ですが、これは、国際決済銀行(BIS)の自己資本比率規制が、主要国発行国債の保有に有利なしくみとなっているためです。

 いま国際業務を行う大手の銀行は、貸付金などの「資産」の焦げつきに備え、「資産」の8%以上の自己資本を用意するよう義務付けられています。主要国の中央銀行や金融当局の国際協調機関であるBISの、一九八八年の合意によるものです。

 ただしBIS規制は「資産」を特殊な方法で計算します。民間企業への貸付金は、焦げつくリスクが100%だとして、100%をかけた全額を「資産」に計上します。他方、主要国の国債のリスクは0%で、いくら国債を買っても「資産」はゼロと計算します。民間企業への貸し付けを増やせば、丸ごと「資産」が増える(自己資本比率が下がる)のと比べ、「資産」を増やさず利益を増やせる国債購入は、銀行に好都合です。

 とくに日本では、国際業務を行わない国内銀行にも4%以上の自己資本比率を要求し、これをほとんど絶対的な基準にして「健全化」を強要しています。これと小泉内閣の「不良債権」最終処理加速が結びつき、銀行業界に、中小企業から貸しはがし国債を買いあさる、ゆがんだ風潮がまん延しているのです。

 アメリカでさえも、国内銀行に対しては自己資本比率以外の多様な基準を認めています。自己資本比率規制を「グローバル・スタンダード」だなどと国内にも機械的に押し付ける政策はやめるべきです。

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 〔2003・3・26(水)〕


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