2003年3月27日(木)「しんぶん赤旗」
マレーシアのマハティール首相は二十四日の下院本会議でイラク戦争について発言し、次のように強調しました。
(イラク戦争によって世界は)力が支配する石器時代に逆戻りしてしまった。今後は超大国の気まぐれによって独立国家の国境が侵されるだろうと予見できる。
民主主義は存在せず、かいらい政権を利用する外国勢力による強権支配が取って代わり、これが世界のシステムになるだろう。
戦争は攻撃下にある国の防衛と安全保障のためにのみ許される。超大国と同盟国による弱小国に対する先制攻撃は許されるべきでない。
一方的な行動は禁じられるべきであり、国際法と原則を破ったものがだれであれ、世界はそれに反対すべきだ。
強い国は(他国を)攻撃しないものだ。それ(攻撃)は憶病者、ごろつきの態度だ。
私は非同盟運動の議長として、非同盟運動がメンバー国であるイラクに対する戦争に反対することを表明してきた。われわれは、このチャンネルを活用し、できるだけ多くの国が米国と同盟国の行動を糾弾するよう働きかける。
ベトナム政府が二十日発表した声明は、米国と同盟国がイラク戦争を開始したことを強く非難して、次のようにのべています。
この行動は、国連憲章を含む国際法の基本的諸原則に著しく違反し、国連を無力化し、国際関係における極めて危険な前例をつくり、イラク国民に苦痛を与え、中近東地域と全世界の平和と安定を破壊するものである。
ベトナム政府と国民の原則的立場は、国際関係において、諸国家の独立、主権、領土保全は徹底的に尊重され、紛争は平等と相互尊重に立脚して、武力を行使せず、武力行使の威嚇を行わずに平和的に解決されなければならないというものである。
その立場に沿って、ベトナムの政府と国民は、米国と英国の当局者によるイラク国民への軍事行動に断固として抗議し、それらの行動を直ちに停止し、イラクの独立、主権、領土保全を尊重し、地域の平和と世界の安定を回復するよう要求する声を強くあげる。(ハノイで北原俊文)
われわれが武装解除のための一連の戦争に直面しているとは考えられないし、考えたくない。国連をはじめとする平和的解決の機構を発展させるよう努めなければならない。恐るべき危険を放置するか、武装解除のための戦争に踏み切るかという選択肢しかないようであってはならない。これは政治の課題であり、安保理の多数が望んでいることだ。
安保理での論議は、一点で幅広い一致があることを示した。大量破壊兵器が拡散しないように、これまでより効果的に働く国際的規則と機構が必要だということだ。
欧州の歴史を知っている者はここで多くの戦争があったことを知っている。欧州統合は欧州の戦争と殺りくの世紀に対する回答だ。恒久平和の幻想への後退ではない。紛争を可能な限り平和的に解決しなければならないときに、憶病や狂信のために何もしないでいるというわけにはいかない。(独週刊誌『シュピーゲル』三月二十四日号のインタビュー記事から)
二十四日付の中国共産党機関紙・人民日報は、「武力攻撃は国際秩序を破壊する」と題する論評を掲載し、米英の戦争を厳しく批判しています。
論評は、米英のイラク攻撃は「国連の権威、国連への期待への重大な挑戦、破壊である」とし、「国連憲章と国際関係の基準を乱暴に踏みにじった」ものだと非難。「アメリカは武力で公然と一つの主権国家を覆そうとしている。今の国際秩序と国際原則を破壊しており、国際社会からの反対に遭っているのは当然である」としています。
論評はさらに、イラク攻撃をめぐる議論は「国際社会がどのような秩序を打ち立てるかという問題に行きつく」として、「一極か多極か」「強権的か民主的か」「武力統治か文明的な規律か」が対立軸になっていると分析。そのうえで「世界の圧倒的多数の人々は、当然のこととして、“強権こそ公理”という時代に逆戻りすることを望んでいない。反戦平和の波が世界を覆い、各国の有識者がこぞって今回の攻撃に反対しているのはこのためである」と結んでいます。(北京で小寺松雄)
ローマ法王ヨハネ・パウロ二世は二十二日、バチカンの行事を専門的に報道するテレビ局「テレパーチェ」で、次のようにのべています。
テレパーチェは、平和のテレビ局、神の恵みであり、人類の謙虚かつ不変の獲得物である平和のテレビ局になることを望んできた。
ここ数日のイラクにおけるように、戦争が人類の運命を脅かしている時には、平和だけがより公正で連帯のある社会を建設する道であるということを、強く断固とした声で宣言することがますます緊要である。暴力と兵器は決して人類の問題を解決することはできない。