日本共産党

2003年3月27日(木)「しんぶん赤旗」

イラク問題集中審議で首相を追及

衆院予算委で 木島議員の質問


 日本共産党の木島日出夫議員が二十四日の衆院予算委員会集中審議で行った、イラク問題の質問(要旨)は次のとおりです。


木島 「イラクを変える方策見いだせない」とは誰の認識か

首相 私自身の認識だ

木島 安保理の多数は平和的解決可能の認識

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追及する木島日出夫衆院議員=24日、衆院予算委員会

 木島日出夫議員 総理は、二十日の衆院本会議での(米国のイラク攻撃にかんする)報告で「武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考える」(とし)、その根拠についてこう述べました。

 「問題の解決をいつまでも先延ばしにすることは許されないのです。イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見いだせない以上、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考えます」

 そこでお聞きします。「イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見いだせない」との認識は、一体だれの認識なんですか。総理個人の認識ですか。それとも国連安保理がこういう認識に立っているという報告なんですか。

 小泉純一郎首相 私は、私自身の認識を申し上げたわけです。国連安保理の中では意見が分かれているということは承知しています。

 木島 単に分かれているわけじゃない。安保理を構成する多数の国々の認識は全く逆ではなかったでしょうか。

 三月十七日に、UNMOVIC(国連監視検証査察委員会)のブリクス委員長は、イラクの大量破壊兵器廃棄のための具体的、詳細な計画を安保理に提出しました。

 これを受けて開かれた三月十九日の国連安保理外相級会議で、フランスのドビルパン外相は次のように述べています。

 「(ブリクスやエルバラダイの)彼らの計画は、イラクの軍備解体を平和的に行う、明確で信頼に足る展望がいまだ存在することを示している」

 同じく、ドイツのフィッシャー外相の発言。

 「未解決の軍備解体問題のリアルな記述をした作業プログラムが今、われわれの目の前にある。これは、イラクをどのように平和的に短期間で軍備解体するのかの明確で説得力あるガイドラインを与えている。イラクを平和的に軍備解体することは可能だ。したがって平和的な手段は尽くされていない」

 中国も同様です。

 国連安保理は、十五カ国のうち米、英、スペイン、ブルガリアの四カ国を除く九カ国の多数が、査察継続で平和的な解決は可能だという認識だったんじゃないですか。

 首相 ブリクス委員長は、(イラクは)十分な協力をしてないということを言っているんですよ。これはもう全社会一致している。なおかつ、一九九〇年、(木島「そういう昔の話じゃない」)イラクがクウェートを侵略したときに、クウェートを解放するために、国連は武力行使容認決議をした。

 国連が一致して武力行使容認決議をしても、イラクは言うことを聞かなかった。それでやむなく、(木島「委員長、わかるでしょう、私の質問。三月十九日、三月十七日のことを聞いているんだよ」)湾岸戦争、イラクを解放するために戦闘行為に出た。

 そして、(イラクは)撤退して停戦決議(が上がった)。これも十二年間、イラクは守ってこなかったんです。そして昨年の十一月に最後の機会を与えるといって、これは三月まで議論してきたんじゃないですか。

 十二年間の約束をどう考えるか。平和的解決を望んでいるけれども(イラクは)言うことを聞かない。そうして、やむを得ない決断だったと私は言っているんです。

 木島 そんな昔話を聞いているんじゃない。

木島 イラクの「重大違反」を安保理は認定しているか

首相 一致した認定はしていない

木島 重大なことを認めた。 武力攻撃の法的根拠なしを逆証明している

 木島 次の質問に移ります。

 総理は、武力行使の法的根拠について、二十日、二十一日の衆参本会議で、「イラクが決議一四四一で履行を求められている武装解除の義務を履行していないことから、『さらなる重大な違反』が生じていると言わざるを得ず」と答弁し、決議六八七、六七八につなげようとしています。

 そこで聞きます。「イラクが安保理決議一四四一の義務に対して『さらなる重大な違反』をしている」という認定権限を持っているのは、国連安保理だけです。国連安保理はそんな認定をしていますか。

 首相 それは、安保理で一致結束した認定はしていない。

 しかしながら、一四四一で、「最後の機会」を与えたときにイラクが即時無条件、無制限に協力していれば、戦争は起こっていないんです。ブリクス委員長も、十分な協力をしていないと言っているんです。

 いくら平和的圧力をかけても言うことを聞かない。これは、もうやむを得ない決断だったと思います。

 木島 総理は、重大なことを認めました。

 国連安保理は、イラクが一四四一決議に違反をして、「さらなる重大な違反」をしていると認定していないことを明確に答弁しました。これは重大なことです。

 ここに国連安保理決議一四四一を持っています。国連安保理決議一四四一の本文第四項、イラクがそういう重大な違反をしているかどうかの評価をするのは安保理だ。それから一一項、イラクが妨害をしているかどうか、軍備解体義務の順守に対するイラクの不履行があるかどうか、それは安保理に報告して、安保理が一二項でその状況並びにすべて安保理決議の全面順守の必要性について検討する。

 すべて安保理が認定し、決定する権限があるんです。それがないということは、安保理は、イラクはこの決議一四四一に違反していないという状況にある(としている)ことを、総理が認めたことを意味するんです。

 首相 違います。(決議一四四一で)安保理が「最後の機会」を与え、十分な協力をしていないということは、国際社会が一致結束して認定している。

 木島 総理は、全然一四四一を読んでいないんですよ。

 一四四一の第一項を読んでください。イラクが決議六七八を含む関連決議に基づく義務の重大な違反をしてきたと決定している。そういう重大な違反をしていると一四四一は認めている。

 そう認めながらも、二項は「最後の機会」をまだ与えるんだということを言っている。そして、まだ機会を与えている最中なんですよ。そして、報告を受け、それに基づいて、「さらなる重大な違反」をしているかどうかを国連安保理が認定するかしないか決定するんですよ。それがいまだにしていないということなんですよ。

 ですから、総理が言っているように、単純に、決議一四四一違反だから決議六七八、六八七に戻れるなんという理屈は成り立つはずがないんですよ。

 だから、アメリカ、イギリス、スペインの三カ国が安保理に提出した(新)決議案は、“イラクは決議一四四一によって与えられた最後の機会を生かすことができなかったと決定する”と書いてあります。今総理が考えているようなことと同じことが書いてあります。

 しかし、この決議案を提案した米、英、スペインは、安保理決議とすることを断念したんですよ。撤回せざるを得なかったんでしょう。

 このことは、もう明らかに、安保理がいまだにイラクの一四四一違反の認定をしていないこと、むしろ、安保理の多数の国の認識は、査察による平和的解決が有効とするものであることの立派な証明じゃないですか。

 首相 それは見解の相違ですよ。一四四一において、「最後の機会」を与えるということをイラクは生かさなかったんですよ。

 木島 だから、イラクが「最後の機会」を生かしたか生かさなかったか、その認定権限、判断権限は国連安保理にのみある。総理、さっき(安保理は認定していないと)認めたじゃないですか。ですから、法的根拠がないということを逆証明しているんじゃないでしょうか。

 私は、米英両国のイラクに対する武力行使が全く国際法上の根拠を欠くことが、これできょう明らかになったと思います。これは、言葉を変えれば、米英両国の武力攻撃が違法、無法で野蛮だということです。

 日本政府、小泉内閣の、無法なアメリカの戦争を支持した態度を厳しく糾弾したい。そして、政府は、米英両国政府に対し、直ちに武力攻撃を中止するよう行動を起こすことを求めて、私の質問を終わります。


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