2003年3月27日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 小泉内閣が米英軍のイラク攻撃支持の正当性を国連安保理決議に求めていますが、根拠はあるのですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 日本政府の主張は、決議一四四一も停戦決議六八七に対するイラクの「重大な違反」を決定しており、武力行使容認の決議六七八が再び生きてくる、三決議の複合的効果により今回の武力行使は認められる―というものです。米英の主張のおうむ返しですが、これは全く成り立ちません。
昨年十一月の決議一四四一は国連監視検証査察委員会と国際原子力機関が再開する、大量破壊兵器に関する査察の、無条件受け入れと全面的協力をイラクに求めたものです。同決議の義務不履行などがあれば安保理が認定し、改めて対応を検討すると明記していますが、安保理は義務不履行を認定しておらず、しかも査察は本格軌道にのり始めていました。決議が武力行使の根拠とならないことは、米英が新決議を執ように求めた経過にも示されています。
一九九一年四月の決議六八七は、国際監視下の大量破壊兵器の廃棄など、イラクとの停戦条件を示したものです。イラクの同決議受諾で停戦が成立し、湾岸戦争は正式に終了しました。この決議は武力行使を全く認めていません。しかも停戦の当事者は国連です。安保理が停戦失効などを認定していない以上、停戦は継続し、「停戦の基礎が損なわれた」とはいえません。 九〇年十一月の決議六七八は九一年一月十五日までにイラクがクウェートから撤退しない場合、国連加盟国に武力攻撃を含む「あらゆる手段」の行使権限を与えたものです。イラクは期日までに撤退せず、湾岸戦争となりました。いまクウェートは占領されておらず、決議の前提条件が消滅しています。まして大量破壊兵器や政権交代などは決議では問題にもならず、武力攻撃の根拠になりません。
アナン国連事務総長も三月十日に警告したように、今回の米英の攻撃は「国連憲章に合致しない」ものです。
(博)
〔2003・3・27(木)〕