2003年3月28日(金)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク26日坂口明】二十六日に国連本部で開かれたイラク問題についての安全保障理事会公開協議では、安保理理事国以外の四十五カ国の代表が発言し、米英両国などによるイラク攻撃は国連憲章違反、国際法破壊だとの批判が非同盟諸国を中心に相次ぎました。
今回の協議で大きな争点として浮上したのは、戦争で被災したイラク国民への人道援助の実施に関する新たな安保理決議の採択などにより、安保理の承認なしに開始されたイラク攻撃を事後承認させようとする米国に対する強い批判です。
ブッシュ米政権は、安保理の承認を得られないままイラク攻撃を強行したにもかかわらず、イラク・フセイン政権打倒後の戦後復興に各国の支援を獲得するなどの目的で、今後のイラク問題への対処に国連を関与させようという態度をとっています。
イラク攻撃で被災するイラク国民への緊急人道援助でも国連を利用しようとする動きがあり、このための安保理新決議の採択をめぐる協議が続いています。
冒頭あいさつしたアナン国連事務総長は、安保理の承認を得ていない米国などによるイラク攻撃が「合法かどうか多くの国が深刻な疑問を抱いている」としつつ、攻撃によるイラク国民の人道的被害の拡大について、主要な責任はイラクを占領する交戦国側にあるが、国連の人道援助機関は役割を果たす用意があると述べました。
こうした動きに対し南アフリカのクマロ国連大使は、イラク国民への人道援助で安保理は役割を果たすべきだが、「現在イラクで進行中の軍事作戦を暗黙のうちに承認するような決議を安保理は起草すべきではない」と警告しました。
キューバの大使も、「現時点の優先課題はイラクへの爆撃と侵略の停止だ」とし、「人道的口実で侵略と占領が合法化、承認されることは受け入れられない」と強調しました。
安保理理事国のフランス、ロシア、シリアなども、同様の警戒を表明しています。そこには、主権国家の政権の打倒を公然と掲げた先制攻撃という、あまりに重大な国際法違反が簡単に既成事実化されてはたまらないとの強い思いがあります。
ところが日本の原口大使は、米国などによるイラク攻撃に全面支持を表明。戦争で生じる難民の救済やイラク周辺国の援助に一億一千万ドルを拠出するとして、援助計画の金額を列挙し、侵略を既成事実化しようとする米国のお先棒担ぎに努めました。
公開協議は二十七日も続きます。