2003年3月29日(土)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク28日坂口明】ニューヨークの国連本部で開かれていた国連安全保障理事会のイラク問題での公開協議は二十七日に終了し、多数の国が米国などによるイラク攻撃を国際法違反の侵略と非難し、停戦を要求しました。また、この攻撃による「国連無用論」に反撃しました。
会合では、安保理理事国以外の二十三カ国(パレスチナを含む)の後、安保理理事国十五カ国すべてが発言。安保理の承認を得ないイラク攻撃の強行により「国連は破壊されたと世界の目には映っているが、イラクで起こっていることは国連を無用にしない」(メキシコ)など、世界平和を維持する機構として国連の役割を発揮させようとの訴えが相次ぎました。
ネグロポンテ米国連大使は、クウェートからのイラクを撤退させるための武力行使を容認した一九九〇年十一月の安保理決議六七八により、十二年後の今回の攻撃が承認されていると「反論」。さらに食料・水不足など米軍の攻撃によって引き起こされているイラクでの人道的危機に関し、国連による人道援助実施を要求しました。
これに対しロシアやシリアは、人道援助実施のための新たな安保理決議の採択が、違法なイラク攻撃の事後承認に結びつくべきではないと指摘しました。フランスは、人道危機の主要な責任が占領国側にあることを明確にした上で新決議を採択すべきだと述べました。
会合の最後にイラクの国連大使が「人道問題解決より停戦が先決問題だ」と再発言。「イラク政権を打倒しイラクを再建する計画は九七年に契約されていた」と指摘すると、米大使が退場する場面もありました。
イラクへの人道援助を四十五日間再開することを認める新安保理決議は二十七日に大筋で合意が成立し、二十八日にも採決される見通しです。