2003年3月30日(日)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 昨年問題になった、日本近海での米軍の水中爆破訓練は、日米安保条約と関係があるのでしょうか。(長崎・一読者)
〈答え〉 米軍は昨年十一月十四日から二十日にかけ、島根県隠岐諸島沖や鹿児島県、沖縄県の沖合で水中爆破訓練を実施しました。ズワイガニ漁などの最盛期を迎える好漁場での突然の訓練に、直前に知った漁業関係者や自治体から抗議と中止要求が起こりましたが、米軍は訓練を続行しました。
この訓練が行われた区域は、日米地位協定によって提供されている区域ではなく、米軍が勝手に設定したものです。安保条約上の根拠はありません。しかも訓練区域は日本の二百カイリ排他的経済水域内で、漁業資源などにたいする日本の主権的権利が認められている海域です。ところが米軍は、直前の十一月十三日に訓練区域を知らせる航行警報をネットで流しただけで、政府に通報もしませんでした。訓練が知れわたったのは、当初の訓練区域が日本の領海十二カイリにまで及ぶと気づいた海上保安庁の、照会や通報の結果です。
さらに、日本共産党の追及の結果、二〇〇一年と〇二年の二年間だけで二十回もの水中爆破訓練があったことがわかりました。米軍が航行警報を流すだけで勝手に水中爆破訓練を行うのを、日本政府が長い間黙認してきたことを示しています。
川口順子外務大臣は、米軍の訓練について、公海だから「同意を日本から得ることが義務付けられているというものではない」(十一月二十一日、参院外交防衛委)と弁解しました。しかし、公海の自由航行と、他国の経済水域での爆破訓練とは別問題です。米軍は最低限、事前に政府に通報し了解を得る必要があり、日本が訓練を拒否しても主権の行使として当然です。この問題での日本共産党の小泉親司参院議員の質問に対し、外相も「我が国に対してできるだけ前広に連絡をするように改めて米側には確認していく」と述べ、現在、日米間で協議が行われている模様です。
(水)
〔2003・3・30(日)〕