2003年3月31日(月)「しんぶん赤旗」
公明党は米英による対イラク武力攻撃開始にあたって、「一刻も早い軍事行動の終結・事態解決を強く望む」などとする党見解を発表し(二十日)、ビラや公明新聞号外などで宣伝しています。「平和」の立場をアピールしたいという思惑とは反対に、米国の無法で野蛮な戦争を容認する公明党の危険な姿を際立たせるだけです。
公明党が「軍事行動終結」はいっても、アメリカに対して「戦争をただちにやめろ」といえないのは、米国の戦争を支持・容認しているからにほかなりません。
実際、公明党は、米国の武力行使は「極めて残念」としつつ、それを支持する政府の態度を「やむを得ない」(神崎武法代表)と了承しています。
イラク戦争は、本格的な軌道に乗りつつあった国連の査察を米英が一方的に断ち切り、国連決議もなしに無法な先制攻撃を始めたことから起きました。
ところが、公明党はこうした事態にいたったのは、「平和解決の道を閉ざしたイラクに『非』」があるともっぱらイラクを非難することで、米国の無法な戦争を擁護。「法律的には国連の枠内で武力行使」(冬柴鉄三幹事長、二十三日)と、「合法」のお墨付きまで与えているのです。
そのうえ公明党は、「フセイン政権打倒」を公然とかかげた米国の戦争目的まで認めて、主権侵害と内政干渉の無法まで擁護しているのです。たとえば、神崎代表は二十日の記者会見で「イラクのフセイン政権の体制が変わることが必要と考えているか」と問われ、「フセイン体制そのものが大量破壊兵器を廃棄しないという体制であると思う。だから(大量破壊兵器廃棄と政権の変化は)一体のものと理解している」と答えています(公明新聞二十一日付)。つまり、大量破壊兵器を廃棄するためには、フセイン政権を排除しなければならないというのです。
そうであれば、公明党のいう「軍事行動終結」とは、フセイン政権転覆という目的が達成されない限り、戦争は終わらないということになります。それを「一刻も早く」というのは、いまでさえ罪なき人々の多数の犠牲を生み出している米国の軍事行動を、いっそうエスカレートさせよと求めるに等しいものです。
米国の無法な戦争を何から何まで擁護する公明党の「軍事行動終結」論は、「平和」どころか、野蛮な戦争のエスカレート、泥沼化を招きかねない危険きわまりないものなのです。(K)