2003年3月31日(月)「しんぶん赤旗」
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【ボストン29日遠藤誠二】イラクへの侵略戦争をやめさせるための大集会が二十九日、米北東部のボストンで開かれました。集会は、「平和と正義のための連合」(UFPJ)など平和連合組織や地元労働組合が取り組んで開かれたもの。労組組合員や平和組織のメンバー、学生青年ら、ベトナム戦争従軍兵士らでつくる退役軍人組織の代表や、兵士の家族らも参加。数万人がボストン中心部の広場ボストン・コモンに集まりました。
中央ステージでは、現在、湾岸地域に派遣されている兵士の家族の会「意見を表明する軍人家族たち」代表の一人、チャーリー・リチャードソン氏が演説。「私の息子を含め多くの兵士が酔っ払いブッシュの運転する車に乗せられた」と無謀な戦争を始めたブッシュ政権を痛烈に批判し、一刻も早く米軍兵士を本国に戻すよう訴えました。
「フレンチトースト大好き」と書かれたプラカードを掲げ集会に参加した学生、キャスリーンさん(19)は、「米国の政治家はばかげた動機で、私の大好物の『フレンチトースト』を勝手に『フリーダムトースト』に変えてしまいました。世界の人々から、米国民はみんなこんなものだと思われるのは嫌。だから集会に参加しました。今は、われわれ米国民一人ひとりが米政権と世界に反戦を呼びかけるのが大事です」と話していました。
集会後、数万人の人波がボストンの街をデモ行進、「人種差別の戦争はおよびでない。ほしいのは平和」との声が響き渡りました。
【ニューヨーク29日坂口明】ニューヨーク市マンハッタンの中心街で二十九日、反戦連合組織「国際ANSWER(戦争阻止と人種差別停止を今こそ)」主催の集会・デモ行進がおこなわれ、約千人の市民が「対イラク戦争反対、対パレスチナ戦争反対」と訴えました。
【ブエノスアイレス29日菅原啓】ベネズエラのカラカス首都圏の中核自治体リベルタドルのフレディ・ベルナル市長は二十九日、イラク戦争反対の市民デモに参加し、米英軍による武力行使を「国際法違反だ」と厳しく批判しました。
同日、カラカス市内でおこなわれた反戦デモは、同国の女性団体などが呼びかけたもので、チャベス大統領の与党勢力を中心に、数千人が参加。市民たちは、「米国は国連の多数派の意思を尊重せよ」「ブッシュはイラクから手を引け」などのスローガンを掲げて行進しました。
二十九日、中南米各国で多彩な反戦行動が繰り広げられました。これまでほとんど反戦行動がなかったドミニカ共和国の首都サントドミンゴでも、数百人が米国大使館に向けて抗議のデモ行進。トレンティノ外相が今週初め大統領の戦争支持表明に抗議して辞任したことから、米国追随の自国政府の態度に厳しい非難のシュプレヒコールがあがりました。
南米チリの首都サンティアゴでは、市民団体が市内にある「米国通り」のプレートを「イラクの子どもたち通り」と張りかえる行動で、米国への抗議の意思を表明。カトリック教会も二時間にわたる「平和のための祈りの鎖」行動を呼びかけるなど、全国各地で終日反戦の行動がとりくまれました。
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【ベルリン29日片岡正明】イラク戦争を開始してから十日目の二十九日、ドイツでは全国で約十二万人が「イラク戦争即時中止」のスローガンのもとに各地の集会、デモに参加しました。
ベルリンではポツダム広場など二カ所から約五万人が戦勝記念塔へ向けデモ行進。デモの先頭の高校生が「ブッシュよ、すぐに戦争やめよ」「シュレーダーよ、米軍の領空通過を許すな」と元気よく唱和。若い人ばかりでなく、ベトナム戦争当時の反戦歌「花はどこへいった」をカセットレコーダーでかけながら行進する当時からの平和運動参加者の姿もあります。
高校生のカタリーナさん(16)は片手に手製のプラカードを持ち「戦争なんていやと思って友だちと参加した」と語りました。二人の子どもを連れて参加していたザビネ・ゼイヒターさん(48)は「国連の査察で解決できたのに、米国の勝手は許せない」とのべました。
デモに続き、戦勝記念塔前で集会が開かれ、ドイツ労働組合総同盟(DGB)のゾンマー議長が「世界中の抗議を無視して米国が戦争をしたのは恥ずべきことだ。戦争は正当化できず即時中止すべきだ」と訴えました。
またノルトラインウェストファーレン州のミュンスターとニーダーザクセン州のオスナブリュックの間五十キロにはこの日、手と手を結ぶ人間の鎖ができました。この「平和の鎖」行動には約四万人が参加しました。
シュツットガルトでは約六千人が米欧州軍総司令部を取り囲み、フランクフルトの米空軍基地前には約千二百人が座り込みました。
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【北京30日鎌塚由美】北京市内の大使館街で三十日朝、戦争が始まって以来、中国で初の反戦デモが行われました。
「全世界に平等と平和を」と書かれた横断幕がデモの先頭に。北京に住む外国人が中心になり、当初予定していた百五十人を大きく上回る三百人近くが参加しました。中国人市民の姿も見られ、参加者の一人、超雪蓮さんは「地球は一つ。イラク市民と環境を破壊する戦争は許せません」と語りました。
デモが米国大使館に近づくと「戦争やめろ」の声が一段と大きく響きました。大学で地質学を教える米国人のマーニ・ロズナーさん(51)は、ピカソの平和のハトを描いた横断幕を用意。「息子たちも先週のニューヨークでのデモに参加しました。息子たちを戦争に送りたくありません」ときっぱり。
郊外の大学から四十分かけてやってきたラミ・イブラヒムさん(23)は「私の国スーダンでは毎週反戦デモが行われています。アメリカがやっていることは間違っている」と語気を強めました。
主催者の一人で英国出身のニック・ヨンクさん(研究者)は「この戦争が間違っているという一点で団結している」と語りました。
新華社通信によると、三十日朝、北京大学でも反戦行動が行われ、百五十人の学生が参加。学生たちは、戦場での写真や記事を展示すると同時に、「戦争反対」と書かれたスローガンを掲げて校内でデモ行進しました。