日本共産党

2003年4月1日(火)「しんぶん赤旗」

ブッシュ無法戦争(10)

無差別攻撃 死者500人前後に

民間人被害が激増


 【カイロ30日小泉大介】米英軍がイラク攻撃を開始して十日余りが経過しました。米英軍によるイラク爆撃の実態と民間人被害者の激増は、この戦争の無法さをまざまざと裏付けるものとなっています。

子どもや女性

 イラクにたいする米英軍の攻撃による犠牲者数をさまざまな報道などをもとに調査している米の民間団体「イラク・ボディ・カウント」は、三十一日現在でイラクの民間人死者は最も少ない場合でも四百三十三人、最大の場合は五百四十一人にのぼると発表しました。

 イラク当局の発表を合計すると、同じく三十日現在で民間人の死者は五百八十九人。死者の中心は子どもや女性、老人だとしています。

 米英軍による爆撃の実態も重大で、それは「誤爆」といえるようなものではなく、まさに無差別攻撃といえるような状況を呈しています。

 首都バグダッドでは二十六日、二十八日と、立て続けに住宅街や市場にミサイルによるとみられる爆撃がおこなわれ、多数の子どもを含む八十七人の市民が死亡しました。

 この被害の様子を取材したカタールの衛星テレビ・アルジャジーラの特派員(同テレビはバグダッドだけでも五人以上の特派員を派遣)は「爆撃現場の周囲には軍事施設といえるようなものはなく、米英軍は一般市民の居住地区を狙ったものと考えざるを得ない」「これはまさに大量虐殺だ」と伝えました。また汎アラブ紙アルハヤト二十九日付も、関係者の取材をもとに、爆撃地周辺には軍事施設などないことを指摘しました。

クラスター爆弾

 バグダッドではテレビ局や通信施設も爆撃され、三十日には市内電話が不通となり、市民生活に深刻な影響がでています。

 開戦直後に五十人の市民が爆撃により死亡、米英軍の投下したクラスター(集束)爆弾の使用が広く指摘されたイラク南部のバスラの状況も深刻です。アルジャジーラは三十日、二十九日から同日にかけて米英軍が同地にたいし激しい空爆をおこない二十二人が死亡したと伝えるとともに、民家の玄関先に転がるクラスター爆弾の不発弾の映像を流しました。

 同爆弾は多数の子爆弾を散発させ、一度に広範囲の民間人を殺傷する非人道性が国際的批判を呼んでいますが、バスラでの同爆弾の使用は止まらず、不発弾による二次被害の広がりも懸念される状況となっています。

 バスラではまた、爆撃で浄水施設が機能せず安全な水道水の供給に重大な影響をおよぼしていますが、英軍は二十八日には同市内の食料倉庫を爆撃、食料や砂糖とともに乳児用のミルクにまで被害が及んでいます。

 米英軍による空爆は、バグダッドやバスラ以外にも南部ナシリヤ、カルバラ、ナジャフ、バビロン、中部ティクリート、北部モスルなど全土におよび、ナシリヤやナジャフでは病院や救急車が爆撃を受け、医療関係者が死亡する事態まで伝えられています。

 米軍は今回のイラク攻撃で地中三十メートル、厚さ六メートルのコンクリートも貫通する威力をもつバンカーバスターや、放射性物質を含む劣化ウラン弾を使用したことも認めました。

 この残虐兵器を使用した無差別攻撃に対しアラブ世界では怒りが沸騰。マスコミからは「米国がイラク攻撃で使用している兵器が、いまだ発見されていないイラクの大量破壊兵器より危険でないといえようか」(エジプトの政府系アルアハラム紙三十日付)との指摘もでています。


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