2003年4月1日(火)「しんぶん赤旗」
【ワシントン30日浜谷浩司】イラク戦争の長期化が確実視されています。米国ではブッシュ政権の「誤算」をめぐる議論が続いています。このなかで、戦争勝利にはあらゆる手段をとるべきだ、との危険な主張が出ています。「誤算」の結果として、見境ない戦争拡大の危険性がでています。
米中央軍のフランクス司令官は三十日、カタールの司令部で記者会見。戦争が「夏まで続くと考えるか」との問いに、「いつまで続くかはだれにも分からない」と述べ、戦争が少なくとも数カ月におよぶ可能性を事実上認めました。
マイヤーズ米統合参謀本部議長は三十日、米国のテレビ番組で地上軍のバグダッド攻撃について「準備が整うまで動くつもりはない」と述べ、時間がかかるとの認識を示しました。
ブッシュ大統領は二十九日のラジオ演説で、「完全で最終的な勝利以外の結果は受け入れない」と断言。対イラク戦争に勝ち抜くことがブッシュ政権にとって至上の課題だとする強硬姿勢を示しました。
戦費のための補正予算(約七百五十億ドル)を議会に求めるにあたっても、「(完全勝利)の目的のために、軍が必要とするものを提供しなければならない」と強調しています。
「速やかな勝利、わずかな犠牲」というシナリオの破たんを前にして、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(二十八日付)は、「イラク再建について思いをめぐらす前に、軍事的に勝たねばならない」と強調、攻撃強化を要求しました。
ブッシュ政権はこれまでイラク国民に「自由と平和」を与えると公言し、米軍を「解放軍」と描き出そうとしてきました。そしてイラク「再建」にはイラク国民の支持を取り付ける必要があるとの立場から、民間人の犠牲を「最少」にするよう配慮している、と主張してきました。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の論説は、こうした論点をもばっさりと切り捨て、民間人の犠牲は「民間人を軍事目標の前に立たせた者の責任」で米政権の責任ではないと主張。民間人の犠牲などおかまいなしに、攻撃を強化すべきだとしています。
「誤算」をめぐっては、ラムズフェルド米国防長官の責任を指摘する声も強まっています。同長官は三十日、ABCテレビのインタビュー番組に出演。中央軍が作成した作戦計画に対し、同長官が規模縮小を求めたことが「誤算」の要因だ、との批判を突きつけられました。
同長官は「それはまったくの偽り」だと拒否。フランクス司令官は「要求したものすべてを手にした」と答えるはずだ、と述べました。ここからは、今後米軍がいっそうの戦争拡大に向かう可能性が浮かび上がります。
同長官は、湾岸戦争では地上戦に先立って三十八日間にわたり爆撃を続けたことを指摘しながら、イラクへの空からの攻撃を「数週間続けることは確実だ」と述べました。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙論説は、「私たちはまもなくテレビでいやな画像をみることになるだろう」と、民間人の犠牲の拡大を予想。「これこそまさに、連合軍がいま目指している方向のようだ」と指摘しています。