2003年4月1日(火)「しんぶん赤旗」
「この戦争に表現者として何かをしなければ」―。劇作家・俳優の渡辺えり子さんらの呼び掛けに応じた監督、俳優、演出家などの演劇人が五日夜、東京・新宿でイラク戦争をテーマにしたリーディング(朗読)劇を開きます。人気の若手歌舞伎役者中村獅童さんらも参加する予定で、舞台から静かなうねりが広がりつつあります。
題名は「あきらめない―演劇は非戦の力」。ストーリーはなく、米海兵隊員の家族の手紙、戦争で悲惨な境遇にある子どもの手記など、戦争に関連したさまざまな「言葉」「声」を次々朗読します。
米同時テロを題材に音楽家坂本龍一さんがまとめた『非戦』や、米国の「反骨の知識人」チョムスキーの著作からも引用するといいます。
最初は二月中旬に有志数人が集まりました。「とにかく何かやろう」と、ぎりぎりまでかかってまとめ上げた台本で、同月二十八日に一回目の朗読劇を行いました。
「声高に反戦を叫ぶのではなく、聞く人に何かを感じてもらいたい」と開戦後、再び渡辺さんらが動きだすと、賛同者が次々現れました。今回、参加するのは渡辺さんのほか、俳優の林隆三さん、平田満さん、風吹ジュンさんら著名な俳優陣を含め総勢約五十人に上ります。
渡辺さんは「私はもともと『戦争をやめて、殺さないで』と大声を出したくなる人間だが、ぐっと抑えて朗読で訴える。あきらめている人が多いが、平和はリーダーがつくるものではなく、自分たちでつくっていくものだと訴えたい」と話しています。
朗読劇は五日夜七時から新宿・紀伊国屋サザンシアターで行われます。