2003年4月2日(水)「しんぶん赤旗」
自民・公明政権が国民の強い反対をおしきって、健康保険の三割負担を強行実施した一日、東京・渋谷区にある病院の待合室で、患者たちに話を聞きました。「予測はしていたけど、これほど高いとは」と、この先への不安を口々に語る患者。そして、医療関係者が重症化を招くと指摘した“薬の節約”などが早くも始まっていました。
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会計窓口で「うーん」とうなったのは、元タクシー運転手の男性(66)。加入する退職者医療制度もこの日、二割から三割に。請求書の「一万千二百八十円」に、大きく首をひねりました。
五年前、すい臓と胆のう、ひ臓を摘出。「まさか、一万円をこえるとは。二万円もってきて良かった。恥をかくとこだった」。この日は「まだあるから」と薬を断りました。「年金暮らしにきついよ。こんどの選挙は、よーく考えないとな。負担を増やすような連中は落とさないと」
痛風で右足をひきずる男性(30)。窓口の職員に、「二千九百円」と告げられ、「分かってはいたけど確かに高い」とつぶやきました。職員は申しわけなさそうに、「昨日までなら、二千円かからなかったんですが…」。
「足も痛いが、ふところも痛い」といって支払いました。さらに薬局で払う薬代がいくらになるか不安げな顔で、病院を後にしました。
「人を殺す軍事費やイラク攻撃支援より医療・福祉にお金を使うべきだ」と怒るのは、東京・東村山市に住む会社員の男性(50)です。糖尿病の治療で月一回通院しています。
「二千五百円ぐらいかなぁと、覚悟はしてきましたが、三千三百六十円です」と会社員。「二十代から働き出した当初は健康保険は十割給付でした。それが三割負担まで重くなりました。二割にもどすべきだ」
前回は千六百五十円だった会社員は、今回から投薬治療も必要になりました。「一生病気と付き合わなければならない。合併症でもでれば治療費はさらに高額になる。“福祉の党”などといっていた公明党が三割負担に加担した。だまされた」と怒っていました。この会社員は花粉症の薬も必要でしたが「少し改善したので今回はやめました」といいます。
健康保険・共済組合・退職者医療
本 人 2割 ⇒ 3割
家族入院 2割 ⇒ 3割
2 割 3 割 |
糖尿病の会社員(50) 1650円⇒ 2740円 |
すい臓摘出の退職者(66) 約7000円⇒11280円 |
(いずれも診察のみで薬代は含まない) |