2003年4月2日(水)「しんぶん赤旗」
【カイロ31日小泉大介】アラブ連盟のムーサ事務局長は三十一日、英BBC放送で、もし米国がシリアやイランにたいし軍事攻撃をおこなうことになれば「中東地域を大破壊に導くことになる」と警告しました。
ラムズフェルド米国防長官が二十八日の記者会見で、「軍事物資がシリアからイラクに送られていたとの情報がある」「これは米国への敵対行為だ」とのべるとともに、イランに本拠を置くイラク反体制派のイラク国内の部隊が「米英軍の障害になりかねない」とのべたことをうけてのもの。
シリアのシャラ外相はすぐさま、「これは米軍が国際法を侵害し、イラク市民にたいしおこなっていることを隠ぺいするためのものだ」と厳しく批判し、事実を否定しました。
アラブ各国からも「米国がイラクに続きシリアを攻撃すれば、全アラブは団結して米国とたたかうことになる」(ヨルダンのナビフ・ベッリ国会議長)などの声が高まっていました。
ムーサ事務局長は三十日の記者会見でも、「(米国の主張に関し)何の証拠も示されず、状況をさらに悪化させるだけだ」と批判していました。
先のアラブ連盟外相会議での声明にもあるように、イラク戦争開始後、一部を除くアラブ諸国は戦争反対、非協力を明確にしています。
周辺アラブ、イスラム諸国では、市民の戦争反対行動がますます広がり、一方で「義勇兵」派遣などの動きも出てきました。
ラムズフェルド発言と、引き続く同趣旨のパウエル米国務長官発言は、こうした状況にいらだち、どう喝に出たものです。しかしそれはかえって、中東、イラク周辺諸国の反米気運を高めています。