日本共産党

2003年4月3日(木)「しんぶん赤旗」

米英軍のイラク“人道支援”

戦争正当化の宣伝

国連、NGOが批判


 イラク戦争を進める米英両国が、イラク領内での国連や援助団体の活動を制限する一方、軍による「人道支援」を実施している問題について、国連や非政府組織(NGO)から「人道支援の中立性を損なう」「戦争正当化の宣伝道具」になっているとの厳しい批判が相次いでいます。米英両国は「人道支援」をイラク「解放」を装う手段として利用しようとしています。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ヨルダン事務所のブロニー代表は三月二十九日、アンマン市内で本紙記者(岡崎)に対し、「軍隊による援助ではなく国連や援助団体による支援を優先すべきだ」と強調。「まず国際機関の現地入りを保障すべきだ」との見解を示しました。

 NGOの国際危機グループも同日、声明を出し「米国による援助調整のメカニズムは、人道支援団体の独立性を損ない、人道的行為と軍事的行為の本質的な区別をあいまいにする」と批判しました。

 米英軍は「解放」したとするイラク南部で「食料援助」を展開しています。しかし、現地で援助をすすめるNGOは非難と懸念の声をあげています。

 イラク南部での食料援助に住民が群がる姿がテレビで繰り返し放映されていることについて、「セーブ・ザ・チルドレン」は「これは人道援助とは全く別物の、『人心掌握』作戦だ」と指摘し、援助が軍事作戦の一部と化している好例だと非難。「ケア・インターナショナル英国」も、そうしたやり方では最も必要としている人々、女性や子どもなど弱者に届かないと批判しています。二十六日には、軍部隊に援護されてサフワンに向かった別のクウェート赤新月社の援助トラックが、イラクの戦闘員に襲われています。

 ほぼすべての援助団体が共通して指摘するのは、軍部隊と並んで援助活動をするのは活動家を危険にさらし、イラク国民の信頼を損なうため「お断りだ」ということ。国連がしっかり管理することを要求しています。

 米国のNGO十三団体も人道援助は国連の下で行うべきだとの書簡をブッシュ米大統領に送っています。(アンマン・岡崎衆史、外信部・居波保夫)


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