2003年4月4日(金)「しんぶん赤旗」
有事法制関連法案をめぐり、自民、公明など与党が四月中旬にも衆院を通過させようという動きが急浮上し、緊迫した局面を迎えています。同法案の問題点などについてみてみました。
Q なぜ、有事法案が急浮上したの?
A 自民党の山崎拓幹事長は、四月中に衆院を通過させる理由について、イラク「復興支援」新法の審議が後ろに控えているからだ、としています。
イラク戦争の無法性と非人道性がむきだしになっているなか、戦争の即時中止と侵略軍の撤退こそ求められています。それなのに、フセイン政権打倒を前提にした「復興」うんぬんの議論をすること自体、本末転倒です。まして、その「復興支援」を口実に有事法案をしゃにむに強行しようというのは、イラク戦争に乗じた、“火事場泥棒”というべきものです。
実際は、「有事法制は継続審議を重ねて3国会目、…今回また頓挫すれば、成立の機運はしぼんでしまう」(「朝日」一日付)という危機感を与党が抱いているのです。
有事法案は昨年四月、通常国会に提出されました。しかし、法案の根幹部分である用語の定義や、どういう事態で発動されるのかといった問題で、政府の答弁が二転三転。審議の冒頭から、法案の欠陥ぶり、ボロボロぶりがあらわになりました。
法案に反対する国民の世論と運動は大きく広がり、地方自治体からも疑問や批判が噴出。与党は昨年秋の臨時国会で、法案の欠陥をみずから認める「修正」案を提出せざるをえませんでした。
そしてなにより、有事法案が二国会にわたって継続審議になってきた背景には、同法案が、アジアと日本の平和、国民の生活、自由と権利にとって、きわめて有害で危険な内容を持っていることがあります。
法案の内容は、米国が海外で起こす無法な戦争に自衛隊が参戦して武力を行使し、自治体や民間企業、国民が強制動員される、というものです。
与党の「修正」案も「技術的な字句の修正があるが、中身はまったく同じ」(鳩山邦夫衆院有事法制特別委員長)というように、危険な内容は変わりません。まともに審議をすれば、今度も国民から強い批判を浴びることは間違いありません。
そのため与党は、イラク戦争が起こったのをこれ幸いとばかりに、戦争のどさくさにまぎれ、まともな審議もやらないで、法案を一気に押し通そうとしているのです。