日本共産党

2003年4月4日(金)「しんぶん赤旗」

イラク侵略に米英が使う残虐兵器の数かず

半数が目標はずれるトマホーク

子爆弾ばらまくクラスター爆弾

がんや白血病おこす劣化ウラン弾


 無法なイラク攻撃を続ける米軍は、軍事目標にしぼった「ピンポイント」の「スマートな」戦争を進めているとしながら、実際には、アフガニスタン戦争と同様、民間施設、住宅への爆撃を連日のように繰り返しています。米英両国が進める戦争はイラク国民の生命など眼中にない残虐さ、非人道性をあからさまにした侵略戦争の様相をますます強めています。

 イラクの民間人の死者は開戦から二週間ですでに六百五十人以上に達しています。攻撃の対象となっているのは、市場、病院、見本市会場、放送局、情報省、民家、農家など、拡大する一方です。

 その残虐さは米英軍が使っている兵器からも明らかです。

 米統合参謀本部は、開戦後二週間余に七百発以上の「トマホーク巡航ミサイル」を発射したことを明らかにしています。地形図を記憶し、全地球測位システム(GPS)で位置を測定し、頭部のカメラで目標近辺の映像と比較対照して突入するトマホークは、「命中誤差十メートル以内」とされます。

 しかしそれは、ミサイルの「半数」が目標から半径十メートル以内に落ちるという意味。残りの半数ははずれ、二十─三十メートル以上それることもあり、目標が市街地にあれば重大な損害は必至です。

 五百ポンドクラスの爆弾でも半径約三百メートルの範囲で人や建造物に危害を及ぼすといわれるのに、現在使用されている海上発射のトマホークTLMA/Cは重量千ポンド(四百五十四キロ)の弾頭を積載。もう一つのTLAM/Dは、同じく千ポンドで、百六十六個の子爆弾を内包し、上空で広い範囲にばらまかれます。

広範囲を破壊

 米中央軍空軍司令部は二日、首都バグダッドを防衛するイラク戦車群に対し、一日に千ポンド級の新型の精密誘導「クラスター爆弾」CBU105六発を撃ち込んだと発表しました。装甲貫徹用の集束爆弾です。このほかにもクラスター爆弾使用の可能性を伝える情報が続いています。

 クラスター爆弾は多数の子爆弾を散布し、広範囲を破壊する親子爆弾。一九六〇年代のベトナム戦争時に初めて使用され、爆風や破片による対人対物殺傷・破壊に使われました。その後の「改良」で、二百個以上の子爆弾を収容するものや、焼夷(しょうい)、装甲貫徹の威力を持つとか、着弾後すぐには破裂せず人が触れると爆発する「地雷効果」を持つクラスター爆弾も登場。

 アフガニスタンで使用された際には、子どもが犠牲になる事例が相次ぎ、「無差別殺傷の非人道兵器」で「禁止すべきだ」との声が国際的に沸き起こりました。

 さらに米軍当局は三月二十六日、装甲貫徹能力の高い「劣化ウラン弾」の使用を事実上認めました。爆発・燃焼時に拡散するウランの微粒子が人体に入った場合、がんや白血病の原因になることや環境破壊が憂慮されている兵器です。

巨大きのこ雲

 また、米海兵隊に同行しているロイター通信のマグワイア記者は二日、バグダッド南東百七十キロのクトで、大きな爆発音に続いて数百メートルに達するきのこ雲が立ち上がるのを目撃。米海兵隊員たちは、アフガンでも多用された大型爆弾「デージーカッター」BLU82(重量六千七百五十キロ)だと指摘しています。

 先端の約一メートルの信管で爆弾本体が地面に触れる前に爆発し、激しい爆発音とともに広範囲の地域を真っ平らにしてしまう破壊力を持つ爆弾です。

 このほか、米軍はコンクリートなら五─六メートル、普通の地面なら三十メートル地下まで貫通でき、地中に奥深く突入してから爆発する爆弾「バンカーバスター」も使用しています。 (居波保夫記者)


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