2003年4月4日(金)「しんぶん赤旗」
【ニューヨーク2日山崎伸治】イスラム諸国や非同盟諸国はイラク戦争の即時停戦と外国軍の撤退を求めて国連特別総会の開催を要求しています。ところが、これに対して米国が「(特別総会は)有害で反米的なもの」として、開催阻止の圧力をかける書簡を各国に送りつけていることが二日までに明らかになりました。
書簡のなかで米国は「貴国がそうした会議に反対し、この問題が採決に付された場合には、反対ないしは棄権するよう強く求める」と要求。「現下の極めて険悪な雰囲気のもとでは、米国はイラクに関する国連総会を無益なもの、米国に反対するものとみなす」と脅迫まがいの言い方で開催に同調しないよう求めています。
イスラム諸国会議機構(OIC)は三月三十一日の声明で、「即時停戦と外国軍のイラク領土からの撤退」などを求めるとともに、「この問題を国連総会で取り上げるよう、国連内の他のグループと調整する用意がある」と表明しています。
特別総会は国連憲章第二〇条で「安全保障理事会の要請または国際連合加盟国の過半数の要請があったとき、事務総長が招集する」とされています。この問題では米英が拒否権を行使することはほぼ明らかであるため、安全保障理事会として要請する見込みはなく、加盟国の過半数(九十六カ国)の賛同が必要となります。
五十七カ国が加盟するOICは開催で一致しており、その他の国で賛同を得られるかがカギ。非同盟諸国は議長国のマレーシアや前議長国の南アフリカ共和国、キューバなどが中心となって、働きかけを強めています。
特別総会の開会を求める署名に取り組んでいる米国の「憲法権利センター」のマイケル・ラトナー氏は「米国は経済的、政治的な圧力をかけて開催を邪魔しようとしている」と批判しています。
国連特別総会の開催について米国政府が各国に送った書簡の全文は次のとおりです。
国連総会の加盟国のなかに、イラク問題で安保理が憲章第七章に基づく追加的決議を行わないなら、国連特別総会を開こうと話し合っている諸国がある。
米国は貴国がこうした会議に反対し、問題が投票に付された時には反対ないし棄権をするよう強く求めるものである。
安保理が決議一四四一執行のため新しい決議を採択できなかったことはきわめて残念だ。しかし安保理は引き続きこの問題に取り組んでいる。その理由一つをとっても、総会はこの問題を取り上げるのを慎まなければならない。
必要なら米国は自らの責任を果たし連合を率いて、イラクを確実に武装解除させるであろう。決議六七八に含まれる「必要なあらゆる措置をとる」権限、さらに決議六八七および一四四一によるイラクの武装解除義務の重大な違反に照らして、米国はその権限を有している。
現下の極めて険悪な雰囲気の下では、米国はイラクに関する国連総会を無益なもの、米国に反対するものとみなすであろう。この問題とこの問題にたいする貴国の立場は米国にとって重要であることを承知されたい。
国連総会が開催されれば、国際社会を分裂させ、国連諸決議に従う義務はないとのイラクの考えを助長させることになろう。
最後に、分裂した会議の開催は国連にさらなる害悪を加えることになると米国は懸念する。