2003年4月5日(土)「しんぶん赤旗」
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湾岸地域に展開している米軍兵士の家族らが、ブッシュ政権の始めたイラク軍事侵略に反対する声をあげています。家族たちは、反戦組織を旗揚げし、一刻も早い戦争の終結、愛する息子や夫、恋人らの帰還を訴えています。(ボストンで遠藤誠二 写真も)
米軍兵の家族有志でつくった組織は「ミリタリー・ファミリーズ・スピーク・アウト」(MFSO=声をあげる米軍家族)。二月には、国連の承認も受けないまま戦争を進めたブッシュ大統領をボストンの裁判所に訴える行動も起こしました。
会創設者の一人、マサチューセッツ州に住むチャーリー・リチャードソン、ナンシー・レシン夫妻は、息子のジョーさん(25)がノースカロライナ州ルジューン基地所属の海兵隊員。ジョーさんは昨年八月から湾岸地域に派遣されており、帰るめどはたっていません。
チャーリーさんは、「四年前、彼が入隊した時から懸念していたことが現実のものとなった。おとなになった息子の判断だから、兵士になることには反対しなかったのだが」と話します。
チャーリーさんは、米軍そのものの存在を否定しません。しかし「軍隊は祖国を守るのが使命。海外に駐留したり、世界で戦争をしかけることには反対する」考えは堅持しています。ベトナム、湾岸、アフガニスタンなど、第二次大戦後、米国がおこなった戦争にはすべて異論をとなえてきました。
「サダム・フセインは確かに悪い支配者ですが、世界にはまだ独裁者は沢山います。独裁者がいるからといって他国を侵略するのは間違いです。先制攻撃を含めた米国の政策を改めない限り、イラク以外にも別の戦争が簡単に起きてしまう」。ナンシーさんはブッシュ政権の軍事・外交政策をこう批判します。
二十九日、ボストンで開かれた反戦大集会には、MFSOのメンバーら数十人が参加。集会後には、戦争に反対するベトナム退役軍人たちとともにデモ隊の先頭にたち、「私の恋人は湾岸にいっている」「われわれの部隊は支持 戦争は反対」「直ちに兵士を故郷に帰して」と書いたプラカードを掲げ市内を行進しました。
MFSOには現在、三百人が加盟しています。ナンシーさんは、「アフガン侵攻を支持したような、ブッシュ政権の外交政策すべてに反対しない人も数多く参加しています。しかし矛盾はありません。この戦争をやめさせる一点で、集まっているから」といいます。